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樋口新葉は、再び羽ばたく。苦難の2年、取り戻したトリプルアクセルへの自信

1/9(木) 12:24配信

REAL SPORTS

その瞬間、彼女は感情を弾けさせた。握りしめた拳を力強く振り下ろし、情熱的な笑顔があふれ出す。会心の出来だった。
復活を期して臨んだ全日本選手権。だがこれはまだ、通過点にすぎない。
2年間の苦しみを乗り越え、取り戻した自信。樋口新葉は再び、世界へと羽ばたいていく――。

(文=沢田聡子)

再び世界の大舞台に…… 樋口を奮い立たせた原動力

エンジンを搭載しているようなスピード感あふれるスケーティングと、そのスピードに乗って勢いよく跳ぶ高く大きなジャンプが樋口新葉の魅力だ。そして近年は、表現力においても目を見張るような成長ぶりを見せている。

ここ数シーズン樋口のプログラムを担当しているシェイ=リーン・ボーンの振付と樋口のダイナミックな表現は、個人的には世界でも指折りの魅力的な組み合わせだと感じる。やはりシェイ=リーン・ボーンが手がけた今季のショート『Bird Set Free』は、傷つきながらも立ち上がろうとする心の叫びを描くエモーショナルな曲だ。

全日本選手権・ショートプログラムで、樋口は3回転ルッツ―3回転トウループの着氷でステップアウトし、3回転フリップでもエッジエラーと判定されたものの大きなミスなく演技をまとめ、4位とまずまずの位置につけた。ミックスゾーンでは、苦しいところから羽ばたくストーリーを描くこのショートが自身に重なるところがあると話したシーズン前半の樋口の発言に触れた上で、「それになぞらえると、今の樋口さんはどれぐらい羽ばたけていますか」という質問があった。樋口はしばらく考えた後、次のように答えている。

「見えないぐらい飛んじゃっているんじゃないですか(笑)」

豪快なジャンプを取り戻した、樋口らしいコメントだった。

ショートを滑り終えた後、ミスをした連続ジャンプについても、樋口は前向きなコメントをしている。

「惜しかったなと思うんですけど、フリーでしっかり決められたらいいな、というふうに思いました」

連続ジャンプのミスの後も動揺せずに滑ることができたのも、練習の賜物だった。

「何度も何度も、一個失敗しても次につなげるという練習をしてきたので、あまり意識せずに、次に向けて自然に滑っていけたかなと思います」

今季では「一番動けていた」という樋口は、全日本に向けてしっかりと練習を積んできた。

「本当に死ぬほど練習してきたので、それが自然に出るんじゃないかなというふうにずっと思っていた。あまり緊張もせず、落ち着いていい演技ができたんじゃないかなと思います」

「本当に自信があった」というほどの練習を積めたのは、再び世界の大舞台に立ちたいという思いが原動力になっていたという。

「世界選手権に行きたいし、この全日本でまた表彰台に乗るというのが今シーズンの目標なので、うまく(ピークが)合うように、本当に今までよりも一番頑張れたんじゃないかなと思います」

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最終更新:1/9(木) 21:53
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