ここから本文です

最適な受験勉強、AIが教えます 予備校や塾に続々

1/10(金) 11:47配信

産経新聞

 大学受験予備校や塾などで、人工知能(AI)を活用して最適な学習を促すシステムが相次いでスタートした。少子化を背景に、より一人一人の生徒に合った個別指導をしてほしいという保護者からのニーズがある。関係者は「オーダーメードの効率的な学習が可能になる」と口をそろえる。(加納裕子)

 ■基礎学力の定着

 大手予備校、河合塾は昨年12月10日から、スマートフォンやパソコンを使い、一人一人に最適な学習をAIが提案する「河合塾One(ワン)」を英語、数学で始めた。運営会社社長の信実(のぶざね)秀則さん(61)は「小中学生を対象に個別指導塾が人気を集め、高校生にも個別指導をしてほしいというニーズが増えてきた」と背景を話す。

 最初の問題は全員同じだが、レベルチェックテストの結果などからAIが個別に次の学習内容を提案。教材開発を担う同社取締役の畑秀史さん(54)は「この問題ができるならこの問題もできるはず、という確率推論データをもとに、一人ひとりの学習経路ができて、オーダーメード型になっていく」と説明する。

 事前に数学の試行版を使用した高校生からは「自分にぴったりの学習を推薦してくれた」と驚きの声が上がったという。学習レベルはセンター試験に対応する基礎学力を定着させる内容。信実さんは「部活などで予備校に通えない生徒が、時間や場所の制約なく教育サービスを受けられる」と力を込める。

 ■より高レベルに

 一方、より進んだ受験勉強への対応を目指すのが駿河台学園(駿台)だ。来年度から高卒クラスで、センター試験レベルに対応するタブレット型AI教材を組み込んだ新コースを新設。さらに令和3年4月を目標に、国公立大の二次試験レベルに対応したAI教材を開発中だ。駿台エドテック事業担当の小沢尚登さん(51)は「従来とは全く違った発想で、思考力を鍛えるためのAI教材になる」と説明する。

 大手予備校、東進は今年度から、志望校別講座へのAIの導入を始めた。運営する「ナガセ」広報部長の市村秀二さん(57)は「予備校に求められるのは志望校に合格する力。志望校に合わせて最大の時間効率で受験生を合格に近づける、これこそAIの出番ではないか」と話す。

 核となるのは、同校が10年以上前から蓄積しているデータだ。過去の受験生が約200億の問題を解いた結果と各大学への合格実績に加え、過去問など約10万題を単元やジャンル、レベル別に集積。これをもとに一人一人に最適な道筋を示す。昨年度試験的に行ったところ、受講生はより高い合格率を示したという。市村さんは「AIによって、人の力ではできなかったことが可能になった」と実感している。

 ■講師と役割分担

 学研塾ホールディングスも平成30年から、AIを使った小学校高学年から中高生に対応する学習塾「GーPAPILS(ジー・パピルス)」を全国展開。現在は北海道から沖縄まで96教室で、中学生を中心に2千人以上が学ぶ。

 生徒らは教室に通い、タブレットで授業映像を視聴。さらに、AIが作成した次に取り組むべきプリント教材を解いていく。プリントの解答情報や学習成果はすべてAIが分析し、評価する。これに基づいて、教室の先生が学習管理やアドバイスを行う。

 経営戦略本部事業開発部でシステムを開発した木本充副部長(50)は「塾の指導者は勤務時間が遅く、慢性的な人材不足。経験の必要な学習評価にAIを使うことで、先生はデータを根拠に生徒のモチベーションを上げる役割に徹することができる」と話す。

 近畿大理工学部の●砂幸裕講師(データサイエンス)は「出題範囲が決まっていて過去のデータが蓄積されている入試で規則性を見いだすのはAIの得意分野。効率的学習や苦手分野の発見にAIを活用し、講師は教え方を磨いたり、学生のメンタルケアを丁寧にする。人間とAIが協調することで教育分野は変わっていくだろう」と話している。

●=さんずいにウかんむりに眉の目が貝

最終更新:1/11(土) 11:08
産経新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事