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「チユ」「コンチ」「カンカイ」…がんにまつわる言葉と意味合いを知る

1/10(金) 12:03配信

Medical Note

「がんが治った」という意味で、「治癒」「根治」「寛解」という表現を目にすることがあります。また、「再発」「再燃」などの言葉を見聞きすることもあります。がん治療において、「治るか、治らないか」「治癒したのか、しないのか」ということに患者さんはもちろん、ご家族や周りの方もとても関心があり、また不安を抱えることが多くあります。がんの治療では何をもって治癒とされるのでしょうか。がんを患った方は常に再発の不安を抱えています。そのようなときに治癒の宣告はとても励みになると思われます。今回は、私たち医療者がどのように「治療の効果」についての言葉を使っているのか、そして治療効果とその受け止め方について、考えてみたいと思います。【帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科准教授・渡邊清高/メディカルノートNEWS & JOURNAL】

◇治療における「根治」とは

がんとは、正常な細胞の一部が遺伝子の異常によって制御の仕組みを失い、無秩序・無制限に増殖したり、周りの組織や離れた臓器に転移したりすることによって、生命を脅かす疾患です。

このがんに対する治療のうち、「根治手術」という場合にはがんの細胞や組織をすべて取り除くこと、再発や転移が起こらないように、広がっている可能性のある臓器や組織を含めて切除することをいいます。また、「根治的治療」として、薬物療法(抗がん剤治療)や放射線療法を組み合わせて行うことで、目で見えない小さながん細胞や、微小な転移に対して治療効果を期待することもあります。

◇「治癒」「完治」には「時間」も関係

「治癒」あるいは「完治」という場合には、「がんがないこと」について「時間」の要素が加わります。つまり、手術などの根治的治療のあと、一定の期間再発や転移、がんの悪化(増悪<ぞうあく>)を起こさないことが目安になります。

例えば肺がんや大腸がん、胃がんなど多くのがんでは、治療後5年再発しないで存命している方の割合を「%」で示した指標を「5年生存率」といい、がんと診断された後の病状の見込みや経過の見通し、治療の効果の参考にする目安として用いています。5年間再発がないことを「治った」と見なして、「治癒した」「完治した」と表現することもあるかもしれません。特に手術や内視鏡下治療などで、再発のリスクが少ない、あるいはほとんどないと考える場合には、治療後のフォローアップ(経過観察)を終了する目安として「治癒」「完治」という言葉が使われます。再発のリスクがあると判断される場合や、追加して治療を行う必要のある場合、副作用や後遺症に対する治療やケアを行う場合などでは、当面継続して通院する必要があります。がんの治療は1回で完結するのではなく、多くの場合一定の期間継続して経過をみていく、ということになります。

一方、がんがリンパ節や周りの組織、離れた臓器(肝臓・骨・脳・肺など)に広がっている「遠隔転移」があると、多くの場合手術単独での治療効果は限られ、進行の度合いによって、再発や転移の可能性があるといえます。遠隔転移がある場合の多くはがんの根治は難しく、手術・薬物療法・放射線療法などを複数組み合わせ、がんの増殖を抑えたり、症状を抑えて苦痛を軽減したりする治療が行われます。このような場合、「がんとつき合う」「がんと共存しながらよりよく生きる」ことが目標になります。

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最終更新:1/10(金) 12:03
Medical Note

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