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ヨウムの「無私無欲の行動」 進んで仲間を手助けか 研究

1/10(金) 15:44配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【1月10日 AFP】困っている他者を助けるための無私無欲の行動は、哺乳類、特に人間や大型類人猿などだけに見られる特性だと、長い間考えられてきた。

 だが、アフリカに生息するインコ科の鳥類であるヨウムは、近しい関係にある仲間や「顔見知り程度」の相手にも自ら進んで手助けをすることが、最新の研究で明らかになった。自身の利益が期待できない場合でも、こうした行動を取るのだという。研究論文が9日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。

 研究論文について、共同執筆者で独マックス・プランク鳥類学研究所(Max Planck Institute for Ornithology)のアウグステ・フォンバイエルン(Auguste von Bayern)氏は、協力行動と社会的知性の進化に関する知識の向上をもたらしているとAFPの取材で語った。

 インコやオウム、カラスなどの鳥は高い知能を持つことが知られているが、過去の実験ではカラスが他のカラスを助けることを証明できなかった。フォンバイエルン氏と論文筆頭執筆者のスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)のデジレ・ブルックス(Desiree Brucks)氏の研究チームは、インコ・オウムの場合ではどうなるのだろうかとの疑問を抱いた。

 スペイン領カナリア(Canary)諸島にあるロロ公園(Loro Parque)の研究所で行われた今回の実験では、隣り合う2つの透明の箱に鳥を1羽ずつ入れ、仕切りの壁に小さな穴を開けて物をやり取りできるようにした。また、それぞれの箱には研究者に面した壁に開閉できる穴が設けられた。実験にはヨウムとヤマヒメコンゴウインコの各ペアを使用した。

 どちらの鳥も、トークン(代用コイン)を実験者に渡すと引き換えにご褒美の餌がもらえることをすぐに学習した。だが、自らが利益を得る機会が失われた状況で隣の仲間を援助したのは、ヨウムだけだった。

 初回の実験では、自らが餌をもらえなくても隣の仲間がもらえるよう箱の中にあるトークンを進んで仲間に受け渡したヨウムは、8羽中7羽に上った。

 実験の次の段階では、餌をもらう立場が逆転する。しかし、ヨウムはそれを知らずに行動しているため、トークンを渡す行為による「見返り」を期待していないことが確認できるとフォンバイエルン氏は説明した。

 重要なのは、ヨウムのこうした行動が単なる遊びから生じているものではなく、実験課題の性質を理解しているとみられることだ。隣のヨウムに餌との交換の機会があるのを確認した場合にのみトークンを渡し、そうでない場合には渡さなかったからだ。

■群れの大きさと関係か

 ヨウムには、人間と同様に「仲間」を特別扱いする様子も見られた。近しい関係にある仲間とは、分かち合うトークンの数の多さに有意性が見られたのだ。ただ、顔見知り程度の相手にも多少のトークンを与えた。

 完全に見知らぬ相手との間にもこの作用が生じるかどうかは、今回の実験では検証していない。

 ヨウムが「向社会的」に行動する一方で、コンゴウインコがそうした行動を取らないことの理由は明らかになっていない。ただ、これら2種類の鳥が自然環境においてどのように群れを組織しているかに関連している可能性があると、研究チームは示唆している。

 最大で1200個体にも上る巨大な群れで生活するヨウムは、10~30個体のはるかに小さな集団で生活するコンゴウインコよりも高い社会的認知能力が必要となることが考えられると、スイス連邦工科大のブルックス氏は語る。

 研究チームは今後、世界に生息するオウム・インコ科の鳥393種の間に協力行動がどれほど広まっているかを調査し、その背景にどのような進化的圧力が作用したかを調べたいとしている。

 映像はロロ公園の研究所で行われた実験。マックス・プランク鳥類学研究所の研究チーム提供。(c)AFPBB News

最終更新:1/10(金) 15:44
AFPBB News

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