ここから本文です

「細胞集積法」弘大などが開発/生体に近い立体組織生成、人工腹膜で特許/再生医療、創薬活用に期待

1/13(月) 8:51配信

Web東奥

 弘前大学医学研究科の下田浩教授(生体構造医科学講座)らの研究グループは、血管・リンパ管網を含んだ立体的な人の組織を短期間でつくる「細胞集積法」を、大阪大の明石満教授(生命機能研究科)と協力して開発した。これを応用して生体に極めて近い人の立体組織をつくり出すことに成功し、その一つとなる人工腹膜組織について2018年に国内特許を取得した。再生医療への活用や、薬の効き目を調べる実験など幅広い分野での活用が期待されている。

 立体組織をつくる研究は12年から実施。細胞同士の接着を促す「細胞外マトリクス」の薄膜を利用することで、複数重なった細胞同士が移動・連結を繰り返すことを突き止め、5~7日という短い期間で、3次元の立体組織をつくることに成功した。研究グループは、医工連携の新たな組織構築技術として「細胞集積法」と名付けた。

 さらに、この細胞集積法を使って、血管やリンパ管を含んだ状態で人工的に腹膜組織を作製することに成功。「血管およびリンパ管ネットワークを有する人工腹膜組織構造体」として18年に国内特許を取得し、現在、欧米で特許出願をしている。

 腹膜は、骨盤、臓器表面などを覆う膜で、腹腔(ふくくう)内や骨盤内臓器を発生源とするがんが腹膜に広がった場合の治療戦略は確立されていなかった。しかし、開発された人工腹膜を使うことで、治療法確立に向けて実験が行えるようになった。

 実際、弘大産科婦人科学講座では、人工腹膜組織を使って卵巣がんモデルを作成し、遺伝子治療効果の仕組みを研究している。

 同講座の横山良仁教授は「人工腹膜は人の生体組織とほぼ同じで、実験・研究にとても役立っている」と語る。

 下田教授は「細胞集積法によって筋組織、腹膜、胸膜、皮膚、動脈などさまざまな立体組織をつくることができる。移植材料として再生医療に応用することも可能。動物を使わずに薬の実験を行えるほか、新薬の効果を検証できる」とし、「立体組織構築の簡便化や品質の安定化へ技術開発が進めば、大量生産も可能となる」と話している。

最終更新:1/13(月) 12:04
Web東奥

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事