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翳りゆく東京 郊外最大級の「立川」に迫り来る厳しい現実

1/13(月) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 東京都立川市は人口18万人、東京都下約400万人を抱える三多摩地区の中心都市です。東京都心から約30キロ、東京駅からもJR中央線の特別快速で40分の典型的なベッドタウンです。これまでに立川駅を電車で訪れて駅構内や駅ビルにごった返す人ごみに驚いたことがある人もいるでしょう。実際、JR立川駅の1日の乗降客数は16・8万人とJR東日本全管轄の駅の中で16位であり、なんと15位の有楽町駅(17・3万人)に迫る勢いです。また19位の中野駅(15万人)や20位(14・7万人)の恵比寿駅をはるかにしのいでいます。

 この立川市は私が生まれた場所でもあり、(その後隣接の市に引っ越したものの)子供のころから何か特別な買い物をする時や映画を見るたびに訪れました。初めてお酒を飲んだのもやはりこの町の繁華街でした。昭和の立川は良くも悪くも実に猥雑で危険な香りがする街でした。昭和40年代には米軍基地があり、街には米国人があふれ、駅前には物乞いをする元傷痍軍人もいました。さらに立川競輪が開催される休日には、街全体が灰色に変色していくのが分かりました。

 ところが、この街を訪れるたびにどうも以前の賑わいが失われていくように感じます。駅から5分も歩けば、途端に街並みが寂しくなっていきます。かつて駅周辺の商店街は、休日などは人酔いするほどの混雑でしたが、今では閑散とし、周辺のロードサイドに至っては、ファミリーレストランや車のディーラーが次々に閉店。代わってコンビニや老人福祉施設が目立ちます。

■押し寄せる少子高齢化の波

 この光景は、私が全国各地で見てきた地方都市の商店街やロードサイドと何ら変わりません。つまり少子高齢化の波はこの東京郊外の代表的なベッドタウンにも確実に押し寄せてきているわけです。

 かつて1980(昭和55)年の立川市において、65歳以上の老人の占める割合はたった6・6%でした。それが現在は24%に上昇しています。人口予想についても、立川市は2026年には減少に転じると公表しています。

 現在は駅周辺も区画整理されて整然とした街並みになりました。駅前の百貨店も建て替わりましたが、どういうわけか勢いを感じません。少しずつ、けれど着実に若者が減っていくことで街から活気が失われているのです。

 昨今、地元多摩地区の同級生たちと一杯やっていると「実家が空き家になり、どうしたらいいかな?」と相談されることが増えました。私の答えは「売るべし」の一言に尽きます。なぜなら、今後更に高齢化が進み、人口が減っていく中で、「買い」の需要は間違いなく減っていきます。なので自分たちが住まない限り、まだ物件に値段がつく間に売却した方が賢明ということになります。

 旧友に「立川のように都心から近い街でこうだと地方都市は今後どうなってしまうのか」と聞かれることがありますが、推して知るべしでしょう。私は行きつけの立川のうまい酒場「ささやま」でただうなるのみです。

(長谷川高/不動産コンサルタント)

最終更新:1/13(月) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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