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東京五輪、選手村食堂の命は「GAP」 選手のパフォーマンス引き出す「食」に注目

1/13(月) 10:00配信

スポーツ報知

 東京五輪・パラリンピックには世界各地からアスリートが集まるため、選手村では各地の宗教や食習慣に配慮した食事が提供される。また、提供される食材は、安全性を保証する「GAP」(ギャップ)認証の取得が必須条件となる。開幕まであと半年あまり。競技だけでなく、選手のパフォーマンスを最大限に引き出す「食」を探ってみた。(奥津 友希乃)

 東京五輪・パラには、206の国と地域から、1万人以上の選手が参加する。このため、選手村では世界各地の食文化や宗教にも配慮する必要がある。

 大会組織委員会によると、選手村の主食堂となる「メインダイニングホール」では、24時間体制で飲み物を含め約700のメニュー、1日最大4万5000食を提供。イスラム教徒の選手に配慮し、豚肉や酒類を使わない「ハラール料理」や、小麦アレルギーの選手も安心して食べられる「グルテンフリー料理」、またベジタリアン向け料理も提供する。

 安全面も抜かりない。選手村で提供される全ての食材は、調達基準である「GAP」を取得することが必須条件だ。「GAP」は食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるもので、「Good Agricultural Practice(農業生産工程管理)」の略。取得には、農薬の使用方法や放射性物質が基準値以下か、労働環境はどうか、など厳しい審査項目をクリアしなければならない。2012年ロンドン大会から、五輪選手村の食材調達基準となった。

 日本の農場でも、東京五輪での食材提供を目指して取得への動きが広まっている。開催地の東京では、18年に独自の基準「東京都GAP」を創設。約30の農場に加え、すでに5校の都立農業科高校が取得した。

 選手村には、主食堂の他に日本の食文化を発信する「カジュアルダイニング」も設けられる。同食堂では、できる限り国産食材を使用し、伝統的な和食にとらわれず、日本人にはおなじみの「おにぎり」や「お好み焼き」などを、1日最大3000食提供する予定だ。また被災3県の岩手、宮城、福島産の食材や東京産食材など、地域特産物を生かしたメニューを産地表示つきで提供。農場にとっては世界に向けて食材をアピールするきっかけとなる。

 具体的なメニューは「調整中」だが、アスリートにとっての参加標準記録とも言える厳しい「GAP」を突破し、選手の口に入る食材やメニューはどんなものになるのか。大会の「食」にも注目が集まりそうだ。

 昨年11月、メディア向けの「GAP」勉強会と試食会が、GAP認証を受けた食材を使ったビュッフェダイニング「グランイート銀座」(東京・中央区)で行われた。武田泰明代表は「GAPの消費者認知は5・8%と低いんです。ビュッフェで使用される食材の約9割がGAP認証を得たもの。おいしく食べてGAPを知ってもらいたいですね」と話す。

 試食した食材はどれも野菜や果物の甘みが引き立っていて、メニューの多くに野菜の産地や果樹園名を表示する、生産者の“見える化”もなされている。より安心して食事を楽しむことができた。

 試食会には、GAP認証を受けた食材を使い、実際に五輪の選手村で提供されたメニューも並べられた。リオ五輪のメニューを再現した「鶏と人参(にんじん)と米のブラジリアンスープ」はなじみのないブラジル料理独特の味付け。野菜の持つおいしさが感じられた。ロンドン五輪の「りんごと豚バラ肉の煮込み」は酢豚にパイナップルのような味わい、「ひよこ豆と人参のコロッケ」はホクホク感がたまらなかった。東京ではどんなメニューが提供されるのだろうか。

 ◆GAPとは

 00年に欧州の民間企業が「ヨーロッパGAP」を設立。07年に国際化を目指して「グローバルGAP」に変更し、全世界に広がった。日本発の「ASIAGAP」「JGAP」、各都道府県独自のGAPなどがあり、五輪・パラ選手村への食材提供には、いずれかのGAPを取得する必要がある。

 「グローバルGAP」は200以上、「ASIAGAP」は約160、「JGAP」は約120のチェック項目をクリアすることが必要。「東京都GAP」のチェック項目は約90。取得すると毎年検査が入り、認証期間は5年。「ASIAGAP」「JGAP」を取得した農場数は08年の236件から19年3月には4735件と約20倍に増加した。

報知新聞社

最終更新:1/13(月) 12:09
スポーツ報知

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