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日本一周旅行を描いた少年マンガは? 藤子不二雄(A)の旅情さそう?ギャグ「フータくん」

1/14(火) 16:56配信

夕刊フジ

 【マンガ探偵局がゆく】

 七草が過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。本年も当探偵局をごひいきに。仕事始めは夢のある依頼だ。

 「定年後の楽しみとして、今年は日本一周の旅を計画しています。飛行機や特急列車は使わず、電車やバスを乗り継ぎ、ガイドブックに出ていない各地の魅力を体験したいとプランを練っているところです。実はこれ、小学生時代に読んだマンガがヒントなんです。主人公の小学生が日本中を旅する話で、毎回、各地の行事や名物が紹介されて、子供心に胸を躍らせたものでした。できれば、マンガのコースに合わせた旅がしたいと思うのですが、タイトルが思い出せません。探偵局で探してもらえませんでしょうか」(65歳・スナフキン)

 あまりにも依頼人からのデータが少ないので調査には苦労したが、現在65歳の依頼人が小学生だった時代のマンガ雑誌を調べたところ、1964年から67年にかけて藤子不二雄(A)が藤子不二雄名義で「週刊少年キング」に連載したギャグマンガ「フータくん」が浮上した。

 主人公のフータくんは、なんでも屋をやりながら無銭旅行を続けて100万円を貯金。その使い道が日本一周の旅だったのだ。

 ゴム博士にもらった気球にもなる不思議なバックを使って空の旅に出たフータくんが、1話につき1都道府県のペースで旅して、その土地ならではの珍体験をするという内容。例えば栃木県では、日光を観光中のフータくんが大事なバックをすられ、犯人を追いかけるうちにスリ会社の団体旅行に紛れ込んで大騒ぎになるというドタバタがくりひろげられる。

 マンガのほかに「フータくんの○○県につよくなるページ」や「フータくんのインチキ・ルポ」などのコラムが設けられていたのは依頼人が覚えていたとおりだ。

 東京を出て、埼玉、千葉、茨城、栃木と関東を北に進み、東北の太平洋側を経て北海道まで、日本海側を新潟まで南下し甲信越、中部を経て富山…。富山では地元出身の作者・藤子も登場する。後半は近畿から中国地方を経て、四国、九州、沖縄まで向かう。当時、沖縄はまだアメリカから日本に返還されていないが、ちゃんと舞台になっているのだ。

 フータくん以外には、鉄兜をかぶった少年・テツカブと嫌味なキザオが準レギュラーとして、配役を変えて登場している。

 単行本はブッキングの藤子不二雄(A)ランドに「マネー・ハンターフータくん」のタイトルで全7巻が収録されているほか、アマゾン・キンドルの電子版でも読める。

 ■中野晴行(なかの・はるゆき) 1954年生まれ。フリーライター。京都精華大学マンガ学部客員教授。和歌山大卒業後、銀行勤務を経て編集プロダクションを設立。1993年に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』(筑摩書房)で単行本デビュー。『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(同)で日本漫画家協会特別賞を受賞。著書多数。

最終更新:1/14(火) 17:27
夕刊フジ

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