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「終わらないクレームはない」「現実は漫画よりむごい」―― 読むだけで胃が痛くなる“印刷会社営業マン”漫画はいかにして生まれたか

1/14(火) 8:00配信

ねとらぼ

 「印刷業界の内幕」を描いた漫画『印刷ボーイズ』シリーズをご存じですか。内容は、中規模の印刷会社「ナビ印刷」に勤務する営業マン「刷元正」(すりもと・ただし)が、次々と襲い来るミスやトラブルに巻き込まれる姿を描いたもの。

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 単行本『いとしの印刷ボーイズ』とその続編『印刷ボーイズは二度死ぬ』(学研プラス)は、どちらも発売後たちまち重版がかかる人気に。「誤植」「誤字脱字」「版ずれ」、さらには印刷物に登場する俳優が薬物使用により逮捕されたために起きる「差し替え」などなど、トラブルがつきものの印刷業界。深々と頭を下げつつ、最良の印刷物を納品しようと懸命に生きる印刷ボーイズの姿が、「どこの業界も大変なんだな」「共感できる」と、多くのサラリーマンやクリエイターたちから熱い支持を得ています。

 作者の奈良裕己(なら・ゆうき)さん自身、かつては印刷会社の営業マンだったといいます。奈良さんが業界漫画『印刷ボーイズ』に込めた思いを聞きました。

営業マンがひたすら謝る漫画

―― 『印刷ボーイズ』は、印刷とは関係がない業種の方にも好評だそうですね。

奈良裕己(以下、奈良):「主人公の気持ちが分かる」という反応を多くいただけて、うれしいです。この間も、全然印刷関係じゃないメーカーの広報の方から「面白いです」って言ってもらえて驚いたんです。印刷業界の用語が飛び交う、かなりマニアックな内容なので意外でした。

―― 確かに、印刷会社が舞台という設定そのものが、マニアックですよね。

奈良:印刷の現場を描いた漫画は過去に何作かあったんです。ただ、営業マンが主人公で、受注から納品まで、こんなに印刷の行程を細かく説明した漫画はなかったでしょうね。

―― 印刷業界の漫画を描くきっかけは、なんだったのですか。

奈良:もともとアイテム情報雑誌「GetNavi(ゲットナビ)」でイラストの仕事をしていたんです。そしてWeb版「GetNavi web」が立ち上がり、2016年に「漫画の連載をやりましょう」とお声掛けをいただいて。それで「子育て漫画」と「印刷業界の漫画」の企画を提案したんです。僕自身が印刷会社の営業マンだったので。すると編集部の方が「子育て漫画はすでにたくさんあるし、印刷ってあんまりないからやってみよう」と気に入ってくださって。そうして連載「今日も下版はできません!」が始まりました(※)。

下版:げはん。最終データを製版から印刷へ移すこと。下版後の修正や変更は基本的にできないため、営業マンたちはこれ以上のミスが見つからないことをひたすら祈る

―― プロが使う印刷用語が容赦なく登場する点が画期的ですし、真実味を帯びていて引き込まれました。それに絵柄がギャグタッチなので読みやすいです。

奈良:営業マンが謝ってばかりでシリアスになりがちなので、ギャグっぽくしたほうが読者の気持ちが入りやすいかなと思ったんです。

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最終更新:1/14(火) 16:23
ねとらぼ

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