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夫、子ども、同僚が「うつ」になったら? 叱咤激励は逆効果。適切な声かけは

1/14(火) 12:12配信

婦人公論.jp

うつで苦しむ人に「頑張って!」はNG、では「早く良くなってね」は──? 周囲の人の態度や言動が症状に影響を与えてしまいがちだからこそ、何度でも確認したい「対処」と「声かけ」。その基本を、心療内科医の海原純子さんが教えます(構成=古川美穂)

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◆気づいたらうつになっていた

うつ病の患者さんは年々増加しています。世界でうつ病に苦しむ人は推計3億2200万人(2015年)で、全人口の約4%。うつ病による自殺者は年間約80万人にのぼります。わが国にも約506万人の患者さんがいると言われており、うつは決して特別ではなく、風邪のように誰もがかかりうる病気なのです。

産業医として患者さんを診ていると、この数年は職場で限界まで追いつめられた男性のうつが目立ちます。中間管理職などけっこう上のポストの方でも、リストラで人が減ったぶん自分の仕事量が増え、キャパシティを超えても仕事を断ることができない。NOと言えば今度は自分もリストラの対象にされてしまう。逃げ場のない状態で、にっちもさっちもいかず、気がついたらうつになっていた、という方が業界や職種にかかわらず多いように感じます。

女性の場合は、48、49歳ぐらいの年齢の方が、いろいろと曲がり角を迎えているようですね。妻や母としての仕事が一段落して新しい人生へと転換を図らなければいけないのに、どちらに進んだらいいかわからない。もう若くないし、更年期も重なり、壁にぶつかってうつになる人も。

また、男女ともに60歳から65歳ぐらいは「初老期うつ」といううつ病にかかりやすい年代です。

◆うつの人には叱咤激励は逆効果

ではもし身近な人がうつになったら、あなたはどうしますか?

つい「早く良くなってね」と言ってしまう人も多いでしょう。たいてい相手に良かれと思い口にしているのですが、実はこれ、うつの人にとって一番プレッシャーになる言葉です。早く良くなりたいと誰よりも強く思っているのは本人だし、それができないからこそつらさを味わっているのですから。

同様に、「元気を出してね」「頑張って」など励まし系の言葉もよくありません。元気を出したいのに出せない、頑張りたいのに頑張れないのがうつという病気なのです。

そのほかにも、不用意にかけた言葉が本人を追いつめてしまうことがしばしばあります。たとえば「前はあんなに元気だったのに」「前と同じように元気になってね」といった、以前との比較。うつのときはポジティブに受け止めることが困難ですから、こうした言葉は「ああ、やはり今の自分はダメなのだ」と、自己嫌悪を深めて落ち込む引き金に。

また「前の自分に戻る」こと自体、私はお勧めしません。前の自分に何らかの原因があったからこそ、うつになったとも言えるわけです。むしろ、以前の自分がどこかで無理をしていたことに気づき、これを機に新しい自分になるほうが望ましい。

また、批判されたり解決策を提案されたりするのも、うつの人には苦痛です。「そんなの気の持ちようだよ」「あまり思い詰めないほうがいいんじゃない?」「もっとプラス思考でいこうよ」などなど、「自分ならこうする」という考えに立った助言は、マイナス効果しかありません。

単に「元気のない人」には叱咤激励やアドバイスも有効ですが、「うつの人」には逆効果となります。

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最終更新:1/14(火) 12:39
婦人公論.jp

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