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韓国政府内で、外交安保政策めぐり亀裂

1/14(火) 16:35配信

ニュースソクラ

【ソウル発】GSOMIA破棄決定を主導の金鉉宗氏、相次ぐ不和説で危機に

 2019年の8月のGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄決定に主導的な役割を果たしたとされる金鉉宗(キム・ヒョンジョン)大統領府安保室2次長が、相次ぐ不和説によって危機に追い込まれた。

 9月には康京和(カン・ギョンファ)外交部長官との不仲説が話題になった金次長は新たな対立に直面し、更迭の可能性まで予想されていると、朝鮮日報などの韓国メディアが報道した。

 朝鮮日報は、「最近、大統領府の国家安保室内部の対立説が急激に拡散されている」とし、その主人公は金鉉宗2次長と崔鍾建(チェ・ジョンゴン)平和企画秘書官だと報道した。

 〈うわさは北朝鮮が平安北道の東倉里で、『重大な試験』を行ったと、米国と口げんかを繰り広げていた(12月)9日頃から拡散された。崔秘書官が『金鉉宗を首にするか、私を切ってくれ』と辞意を表明し、出勤していないそうだ〉

 〈このため、次の外交・安保ラインの改編で金次長が更迭され、崔秘書官が2次長へ昇進するだろうと予想する人もいる〉

 二人の対立の背景について、朝鮮日報は次のように説明する。

 〈(対立の原因は)第一に路線闘争がある。大統領府の事情に詳しい消息筋は、「崔秘書官は『米国と摩擦を起こしても、南北関係のために対北朝鮮制裁の解除を積極的に進めるべき』と主張するが、米国に詳しい金次長は『無理』という具合だ」と語った。

 また別の消息筋は、「文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官とその弟子の崔秘書官らは、『金賢宗もバナナ』(表面は黄色いが中は白い、親米派という意味)という見解を共有しているようだ」と述べた〉

 〈「地位と主導権争い」が本質だという人も少なくない。安保部署のある当局者は「大統領府の核心は結局、386運動圏出身」「金次長がGSOMIA問題で力が抜け落ちていたため、崔秘書官が386運動圏出身の当局者たちと力を合わせ、(金氏を)追い出そうとしている」と言った〉

 崔鍾建室長は、大統領府内の「延政ライン」の核心人物だ。

 延政ラインとは、延世(ヨンセ)大学の政治外交学科出身を指す言葉。彼らは米韓同盟より自主的な外交で南北関係の改善を図るべきという外交路線を主張し、いわゆる「自主派」と呼ばれる。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に大挙入閣し、保守政権時代には非主流に転落したが、文在寅政権が発足してから外交安保分野の要職に布陣するようになった。姜京和(カン・ギョンファ)外交部長官も延政ラインであり、リーダー役を務める文正仁特別補佐官は文在寅大統領の外交安保ブレインを務めている。

 彼らは現在の韓国安保の中心軸である米韓同盟について批判的な見方を共有している。特に、文正仁特別補佐官は「南北関係の最大の障害は国連軍司令部」「韓米同盟を生かそうとして南北関係を崩壊してしまった」など、米韓同盟を否定するような発言でよく論議を呼んでいる。

 文正仁特別補佐官は2019年9月、文在寅政権の内閣改造を控えて新任駐米韓国大使の有力な候補として上がったことがある。

 当時野党は、曹国法務長官候補と文特別補佐官を猛烈に攻撃していた。自由韓国党は「司法破壊者を法務長官に、韓米同盟の破壊者を駐米大使に任命しようとしている」と、文大統領の人選を強く非難した。結局、文正仁氏本人が駐米大使を固辞するという意思を表明したが、韓国の政界では文氏の駐米大使任命が不発に終わった背景に、ハリソン駐韓大使をはじめ米国側の強い拒否感があったと伝えられた。

 崔鍾建室長は、この文正仁特別補佐官の腹心とされる人物で、昨年の8月大統領府安保室の秘密情報を文正仁氏に流したという疑惑で民情首席室の調査を受けたとの報道があった。

 崔室長は、関連報道を伝えた文化日報記者を名誉毀損で告発したが、大統領府の外交安保ラインにおいて、鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長が率いる米国通と文正仁特別補佐官の延政ラインとの間の対立がマスコミに浮かびあがるきっかけとなった。

 現在の朝鮮半島を取り巻く安保情勢は、北朝鮮の「クリスマスプレゼント」発言によって、再び一触即発の緊張が高まっている。

 そんな中、金正恩委員長が期限を提示した「年末」を過ぎ、2020年を迎えた。一寸先が見えない安保状況の中で、文在寅大統領府から漏れてくる争いは韓国国民をさらに不安にさせている。

朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)

最終更新:1/14(火) 16:35
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