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天の川銀河と「ガイア・エンケラドス」の衝突は115億年以上前に起きていた

1/14(火) 21:34配信

sorae 宇宙へのポータルサイト

私たちが住む天の川銀河は、100億年ほど前に別の銀河と合体したことが近年明らかになっています。今回、南天のある恒星を詳しく調べたことにより、その衝突時期がおよそ115億年より前だったとする研究成果が発表されました。

天の川銀河は100億年前に別の銀河「ガイア・エンケラドス」を吸収していた

■インディアン座の恒星から銀河の衝突時期を推定

星々の動きを精密に観測するESA(欧州宇宙機関)の宇宙望遠鏡「ガイア」の観測によって、天の川銀河は今からおよそ100億年前、研究者から「ガイア・エンケラドス(Gaia-Enceladus)」などと呼ばれる別の小さな銀河と衝突・合体したことが最近になって明らかになりました。

衝突と合体が天の川銀河にどのような影響を及ぼしたのかをより正確に理解するには、その時期を絞り込む必要があります。そこでBill Chaplin氏(バーミンガム大学)らの研究チームは、およそ94光年先にあって肉眼でも見える南天の恒星「インディアン座ニュー星」に注目。この星の年齢、化学組成、移動する速度や方向などを詳しく調べました。

過去の研究においてインディアン座ニュー星の年齢は90億歳以上と推定されていましたが、今回の分析の結果、誕生からおよそ110億年が経った古い星であることが判明。また、この星はもともと天の川銀河を取り囲むハロー(銀河ハロー)で誕生したものの、ガイア・エンケラドスとの衝突による影響を受けた結果、ハローから離れて移動するようになったこともわかりました。

衝突の影響が広がる期間を考慮した上で、研究チームは、初期の天の川銀河とガイア・エンケラドスが衝突・合体したのは115億年前から132億年前のあいだだったと推定しています。宇宙が誕生したのが約138億年前とされていますから、ガイア・エンケラドスとの衝突は天の川銀河の歴史でもかなり初期の頃に起きていたことになります。

■系外惑星だけじゃないTESSの活躍

今回の研究を支えたデータは、前述の宇宙望遠鏡ガイアをはじめ、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の観測装置「HARPS(高精度視線速度系外惑星探査装置)」や、NASAの系外惑星探査衛星「TESS」の観測によって得られています。

このうち2018年に打ち上げられたTESSは、太陽に比較的近い恒星を巡る太陽系外惑星を探すために2年間で全天の観測を行うミッションを遂行中。今回の研究では2018年7月から約1年かけて実施された南天の観測データが用いられています。

TESSの観測データからは4億年近く離れた銀河で恒星がブラックホールに引き裂かれる際の明るさの変化が見つかったり、およそ4700年前に北極星だった「トゥバン(りゅう座アルファ星)」が食連星(食変光星)だったことが判明したりしており、系外惑星以外の分野でも活躍する探査衛星として注目されています。

松村武宏

最終更新:1/14(火) 21:34
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