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「1枚のうちわに…」10年越しの感謝 宮城の被災者が熊本へ “恩人”の新成人と対面

1/14(火) 11:28配信

西日本新聞

 「うしろからぼくたちもおうえんしています」。東日本大震災が発生した2011年、遠く九州から届いたうちわに励ましの言葉を書いてくれた男の子に会いたいと、被災した宮城県気仙沼市の女性が13日、熊本県山鹿市の成人式会場に駆けつけた。大人になった“恩人”と対面し、「1枚のうちわに背中を押され、笑顔で生きることができた」と10年越しの感謝を伝えた。

 女性は、気仙沼市でペンションを経営する千葉しげ子さん(73)。メッセージの主は、今は福岡県岡垣町に住む会社員森正秀さん(20)。

 うちわは山鹿市の伝統工芸品「来民(くたみ)うちわ」で、11年3月の東日本大震災発生後、市商工会青年部などが呼びかけ、市内の小中学生と園児が1人1枚ずつメッセージを書き入れ、約6千枚を気仙沼市に送った。うち1枚が、開業して7年余のペンションを津波で失い気落ちする千葉さんの元に届いたという。

 うちわには「被災地のみなさんへ。くるしい生活ですがぼくたちも節電や節水とかを協力するのでがんばってください」「おうえんしています。みんな仲間です。いつも笑顔で」とつづられ、三玉小6年だった森さんの名前があった。

 翌12年10月にはペンションを再建。「夏にうちわを使うたびに、男の子のメッセージに励まされた」という千葉さん。「中学生になった」「高校生になった」と森さんの成長を想像しながら、直接お礼を伝えたいと思いを募らせた。昨年12月、「成人式の機会を逃したら会えない」と決心。山鹿市教育委員会宛てに手紙を書き、この日の対面式が実現した。

 森さんと同級生計24人が集まった式で、千葉さんは「生きていて良かった。胸がいっぱい」と感涙にむせびながら森さんを抱擁。森さんは「熊本も地震に遭い、みんな支えられていると実感した。うちわを使うたびに思い出してくれたことがうれしい。絶対忘れない成人式になった」と話した。 (宮上良二)

最終更新:1/14(火) 11:28
西日本新聞

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