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ゴーン逃亡で置き去りのケリー被告、WSJに語る

1/14(火) 8:07配信

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告は日本から逃亡した。一方、金融商品取引法違反で共に起訴されていた元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(63)は日本に置き去りになり、単身で刑事裁判に直面することになった。かつてのボスが姿を消し、自らの裁判は厳しいものになるとケリーは語る。

 ゴーンの多額の報酬を覆い隠そうとした罪に問われているケリーは、ゴーンが自分を弁護すると期待していた。そのゴーンがいなくなり、ケリーは自身の公判に悪影響が及ぶとみている。ゴーンはケリーの主張を裏付けるカギを握る人物だったからだ。

 ゴーンが12月末に逃亡して以降、ケリーがインタビューに応じるのは初めて。ケリーは「どのように公正な裁判ができるのか分からない。主要証人がいなくなったというのに」と語った。

 ケリーは2018年11月、ゴーンと共に逮捕されたが、後に保釈金を支払い保釈された。ここ数カ月は自身の弁護士と公判の準備に時間を費やしてきた。公判の日程はまだ決まっていない。

 検察はゴーンとケリーが、ゴーンの退任後に8000万ドル(約88億円)超を支払う計画を隠そうとし、役員報酬の開示を義務付ける法律に違反したとして2人を起訴した。両被告はいかなる罪も犯していないと否定している。有罪となればケリーは最長で禁錮10年の刑に直面する。

 ゴーンは、自分を引き留めるために報酬を増やす方法を、ケリーを含めた日産幹部が模索していたと述べている。両被告によると、規制当局への報告で開示することなくゴーンに追加報酬を支払う方法を議論したが、仮定の話であって同社を拘束するものでもないため、金額を公表する必要はなかったと主張している。

 ゴーンは日本で追起訴されているが、その起訴内容も否定している。だが報酬を巡る公判には、両被告が共に出廷するはずだった。

 ケリーは日本からの出国を禁じられているが、ゴーンほどの制約に縛られているわけではない。ゴーンは妻との接触を制限され、監視なしでインターネットを使うことも禁じられていた。

 ケリーは早朝に自宅近くの皇居の周囲を走るのが公判前の日課だと話した。その後は弁護士の事務所で1日8時間を費やす。事務所では、検察に提供された公判用の膨大な電子書類に一つ一つ目を通す。たいてい昼には休憩を取り、近所のコンビニで買ったサンドイッチかおにぎりを食べる。休憩後は再び、書類の精査に戻る。

 米国でケリーの弁護士を務めるジェイミー・ウエアハムは「無駄骨を折るという例えがどうあれ、それを超えた次元だ」とし、「全てを手作業でやらなければならない。このデータを精査するには何百人もの弁護士がいても一生かかる」と述べた。

 ケリーは何を探しているのかさえ正確にはわからないという。「こうした議論の多くは5年、6年、7年前に起こったものだ」と指摘。検察と司法取引する機会も与えられたが、受け入れなかった。「結局のところ、真実を話さなければならなかった。われわれは法的助言を受けながら、カルロス・ゴーンを引き留める適切な措置を試みたというのが私の見解だ。いかなる刑法にも違反しなかった」

 ゴーンの日本脱出についてコメントすることは控え、「カルロス・ゴーンと私の違いは、目下のところ、私はなお制度の中にいるということだ」と述べた。

 横にいた妻のディー・ケリーは、ゴーンが「彼自身と家族のために正しいことをしなければならなかった。本当は私が言うことではないが、おそらく彼にとって非常に困難な選択だっただろうが、彼はその選択をした」と話した。

 ケリーは弁護士事務所での作業を午後6時頃に終え、家族の写真が飾られているワンベッドルームの住まいへと帰る。大きなテレビが1台ある。妻と一緒に米プロフットボールリーグ(NFL)のプレーオフでひいきのチーム、テネシー・タイタンズが予想外の快進撃を遂げるのを観戦したり、米国の家族とビデオチャットをしたりする。

 ゴーンが今月8日、レバノンでの記者会見で逃亡を決断したことを釈明する様子もケリーは見ていた。ゴーンはケリーが司法取引を拒んだことを褒めたたえ、尊敬に値する男だと呼んだ。さらに、ケリーのことを忘れるべきではないと世界に訴えた。

 ケリーは「誰かがあのように認めてくれれば、かなり気持ちよく感じるものだ」と語った。

 会計士を引退した妻のディーは日本語のクラスに登録することで学生ビザを取得し、日本で夫と住めるようになった。孫がいる同夫人は、周りは20代の学生ばかりだと笑いながら語りながらも、夫のそばにいるためにはこれしか方法がなかったと考えている。ビザの保有は成績を維持できるかどうかにかかっている。

 ケリーは逮捕当時、脊髄が圧迫される脊柱管狭窄(きょうさく)症の治療のため、脊椎固定術の施術を待つ段階だった。症状が進むと手足の感覚がまひし、しびれや鋭い痛みが走る。ケリーは2018年11月、米国で手術を控えていたため、日本で行われる日産の取締役会を欠席する予定だったが、日産幹部は12月7日の手術日までに家に帰れると約束した。だがそれどころか、ケリーは逮捕され、拘留されることになった。

 後になって日本で手術を受けたケリーは 、日本の医師に満足しているという。手足のしびれは残り、そのために朝のランニングで幾度かつまずき、転んだこともある。年を取る中で避けては通れない副作用だとケリーは語る。「私は起き上がって走り続ける。不満を漏らしているように思われたくはない。折り合いを付けているのだ」

(敬称略)

By Sean McLain

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