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アプリで手術前後の薬管理、全国初 医療機関、薬局向け 服用中止・再開忘れ防止 佐大附属病院が開発

1/14(火) 10:30配信

佐賀新聞

 佐賀大学医学部附属病院(佐賀市)は、手術などの前後に、血液がさらさらになる抗血栓薬の適切な休止期間を示す「術前中止薬管理アプリ」を開発した。薬の特性や出血と血栓のリスクに関する専門的評価を集約したデータベースに基づいて速やかに対応を決めることができ、服薬の「中止・再開忘れ」や医療事故の防止につなげる。全国で初めての取り組みで、2020年中に他の医療機関や薬局での利用開始を目指す。

 抗血栓薬は脳梗塞、心筋梗塞など血栓症の治療や予防に使われる。服用している患者に出血を伴う手術や内視鏡検査を行う場合、服用を事前に中止するかどうかを決める必要があり、医師が個別に判断している。ただ薬の種類や情報が増えて対応が難しくなってきており、服薬を止めなかったため手術が延期になるケースもあり、適切な管理が全国的な課題となっている。

 附属病院は約3年前から外科や内科、麻酔科、薬剤部などでつくる横断的止血・血栓治療班と、医療安全管理室が合同でアプリの開発に乗り出した。院内の幅広い診療科、部門の専門家によって薬剤ごとに休薬時の血栓のリスクや医療行為を実施する際の出血のリスクを分類、評価し、文献やガイドラインもまとめたデータベースをつくった。

 アプリは、服用する抗血栓薬の薬品名やその薬品の投与目的(血栓リスク)、予定する医療行為(出血リスク)の3項目について選択肢の中から選ぶと、休薬期間と、根拠になる出典を表示するようにプログラムした。血栓、出血の両方のリスクが高くなるなどしてアプリでの判断が難しい場合は、専門医への相談を促すようにしている。

 院内限定で18年9月にアプリを導入した後、術前の服薬の中止忘れは導入前の50%に、術後の再開忘れは10%にそれぞれ減少し、一定の有効性を示した。医師の実際の指示とアプリが示す判断に大きな違いが見られないなど安全性も確認した。アプリは本格実施に合わせて他の医療機関や薬局で利用できるようにする。データベースは薬剤部医薬品情報室が管理する。

 末岡榮三朗医学部長は「国策としてIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などを使い、より確実、安全で標準的な医療を展開できる病院の『スマートホスピタル』の動きが進む中、このアプリは重要な取り組みとなる」とする。医療安全管理室副室長の木村早希子薬剤部副部長は「地域の医療機関や薬局と連携し、より安全な手術と血栓治療を目指したい」と話す。

最終更新:1/14(火) 10:30
佐賀新聞

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