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四国の南端の市で医療を守るには 町ぐるみで高齢者サポート、目先の利益追わず 高知・土佐清水

1/15(水) 10:42配信

47NEWS

 「お年寄りを元気にしなければ医療が崩壊する」。四国の南端に位置する人口1万3千人の高知県土佐清水市。中心的な医療機関「渭南(いなん)病院」の溝渕敏水院長(50)は介護、福祉、配食サービスなど異業種と連携し、高齢者が医者にかからないように町ぐるみでサポートしている。病院の収入に直結しない予防的取り組みを推奨するのはなぜか。溝渕医師に聞いた。(共同通信=浜谷栄彦・文、小笠原学・写真)

 ▽介護予防は病院の役目

 ―土佐清水市の現状は。

 「僕が故郷の土佐清水市に戻ってきた2002年、人口は約1万9千人いた。平均年齢は今より低く、ほとんどの人が先進的な医療を提供できる病院に車で通っていた。ただ、ここ5年ぐらいの間に自力で移動できない人が増えた。医療・介護関係者や生活支援者がお年寄りの自宅に出向いて健康状態をチェックするなど、在宅診療の必要性が高まっている」

 ―市内にあるさまざまな事業者との連携強化を提唱している。

 「市民が暮らすには医療が要る。人口が減ると病院は経営できない。お互いウィンウィンになるには、地域が持続する必要がある。

 高齢者が元気でいるために食べることは欠かせない。食品事業者らと協力してお年寄りが口にしやすい食品を提供している。いつまでもおいしく食べてもらうことで免疫力と体力を保ち、介護予防に務めるのが僕たちの役目だ」

 ▽家は病床、道路は病院の廊下

 ―事業者との連携はうまくできているか。

 「小さい町なので、学校の先輩後輩など昔から互いに知っている人ばかり。コミュニケーションは取りやすい。民生委員や区長が異変に気付くと、地域包括支援センターや当院に情報が届く。ただ急性期病床はわずか20床しかない。だから、町全体を病院と考えている。

 家が病床で道路は病院の廊下。高齢者が病院に通えないなら、私たちが行けばいい。医療機器は進歩しており、今や在宅医療にできないことはほとんどない。超音波検査、レントゲン、酸素吸入、24時間持続点滴などの医療機器が使えるほか、おなかにたまった水を抜くこともできる。病院と違うのは常に看護師がいるかどうかだけ。独り暮らしでなければ家族がいる」

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最終更新:1/15(水) 10:42
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