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倍率600倍も 自治体で相次ぐ氷河期正規採用、民間企業にも広がるか

1/15(水) 7:10配信

産経新聞

 バブルの崩壊などで就職難だった35~45歳の「就職氷河期世代」を正規職員に採用する動きが、全国の自治体で広がっている。政府が氷河期世代の雇用を増やす目標を掲げ、10以上の自治体が採用に動き出した。ただ競争倍率は400~600倍とこれ以上ない「狭き門」。今後は経済界への広がりが焦点となる。

【表】厚労省の就職氷河期世代活躍支援プランのポイント

 ■「氷河期採用」自治体側の思惑は

 「率先して取り組むことで、同様の動きが広がることを期待したい」

 昨年12月20日、岡山市の大森雅夫市長は記者会見でこう話し、令和2年度の採用で事務職で「氷河期世代」を6人程度採用する方針を発表した。同市では毎年事務職で60人程度を採用しており、10分の1に氷河期世代をあてる計算だ。

 対象は今年4月1日時点で34~44歳。学歴、職務の経験は問わない。採用は秋頃の予定で、試験内容などを調整している。

 こうした氷河期世代の採用には、救済とは別に、職員のいびつな年齢構成を是正する狙いもある。

 岡山市は平成8年に中核市となり、この前後、業務量が増加。これに対応して採用を増やしたため、現在44~50歳の占める割合が大きい。一方、19年から3年間は財政難などから採用を凍結しており、現在33~35歳の層は薄いのだ。

 「氷河期採用は、次代を担う人材の層を補う意味でも有意義」(同市の担当者)と話す。

 ■政府が通達

 氷河期世代の採用の先駆けだったのは愛知県。すでに平成28年度、当時の30代に限定した社会人採用を開始した。愛知県も財政難などから平成10~18年度の試験で大幅に採用を絞っており、手薄になった層を補充するためだった。

 こうした採用は毎年継続しており、受験資格は上限を44歳まで拡大。今年度は8人が合格したが、当初の募集予定「約5人」に対して402人が応募し、人気の高さをうかがわせた。

 氷河期世代の採用をめぐっては、政府が今年度、3年間に就職氷河期世代の正規雇用を30万人増やす目標を掲げ、自治体にも取り組みを促す通達を出した。

 この結果、兵庫県▽同県宝塚市▽同県三田市▽同県加西市▽同県赤穂市▽千葉県鎌ケ谷市▽茨城県境町-が採用を決定。来年度は岡山市のほか、和歌山県、東京都、滋賀県、鳥取県が採用を行う方針を表明している。

 なかでも話題を集めたのは兵庫県宝塚市だ。3人程度の事務職員の募集に対し1816人が申し込み、受験者は1635人で、倍率は実に545倍となった。担当者は「正直、集まっても400~500人かと思った。その世代の方々が困っておられると改めて思いました」と明かす。

 3回の試験を経て採用されたのは41、45歳の男性2人、40、45歳の女性2人の計4人。「3年は続けたい」との中川智子市長の意向を受け、宝塚市は令和2年度も引き続き同規模での採用を行う。

 ■企業への広がりは

 こうした動きは全国の自治体に広がるが、それでもかなりの狭き門だ。来年度採用を予定している東京都の採用担当者は「多くの人の応募が予想される。受験会場として大学などの施設を早めに押さえなくては」と話す。

 一方、氷河期世代は企業が採用を絞り込んだ結果生まれたものでもあり、今後は民間企業への広がりが焦点となる。

 パソナグループは昨年12月、氷河期世代を対象に300人の人材を今年4月に採用すると発表した。ただ都市部での勤務ではなく「淡路島地方創生コース」など、地方創成と絡んだ事業の一環。都市部での本格的な企業の採用はまだ、広がっていない。

 岡山市の大森雅夫市長は「今後は経済界とも議論し、支援が経済界に広がっていくことを期待したい」と話している。

最終更新:1/19(日) 18:26
産経新聞

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