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“予言通り”の白鵬休場…腰の痛みよりも精神的なショックが大きいと私は見る[北の富士コラム]

1/15(水) 20:58配信

中日スポーツ

◇大相撲初場所4日目(15日・両国国技館)

 白鵬が休場に追い込まれてしまった。私は3日目の段階で、悪くすれば5日目で姿を消すかもしれないと言っている。それは読者の皆さんも、しかと覚えているでしょう。遠藤との一番で背中から土俵にたたき落とされて、腰を痛めたらしい。それもあろうが、精神的なショックの方が大きく影響していると見る。

【写真】フグになった!?白鵬

 43回の優勝に輝く大横綱が宙に浮いて、土俵にたたきつけられたのである。私程度の横綱でも、あのような負け方をしたなら休場どころか相撲を辞めたくなるだろう。

 幸い、休場でおさまったが自信を取り戻すのは簡単ではなさそうである。何より他の力士たちは、白鵬への恐怖心が薄れたのは確かであろう。再び強い白鵬が帰ってくるのかどうか。非常に興味深い。

 それでは、4日目の土俵である。今日もどうやら長くなりそうだ。いい相撲が多すぎる。では、小さい方から見ようか。炎鵬は元大関栃ノ心と対戦した。もし外国人に、どちらが勝つか聞くとしましょう。間違いなく100人が100人、栃ノ心と言うに違いない。だから相撲は面白い。

 結果的には栃ノ心に高々とつり上げられて負けたが、存分に楽しませてくれた。力の強い栃ノ心に両上手を引かせては、とても話にならない。気の優しい栃ノ心だから、そっとつり出してくれた。昔なら、思い切り土俵にたたきつけられてもおかしくはない。あの場面は塩ザケのようにつり下げたままが良い、と冗談を言っている場合ではない。

 全勝の朝乃山が、全敗の阿炎に敗れる波乱があった。番狂わせと言っては阿炎が怒るだろうが、序盤3日間の相撲を見た限り、朝乃山が有利と見てしまう。立ち合い、朝乃山は阿炎の突っ張りに出足が止まった。なぜか得意の左を取りに出ず、突っ張りで応戦する。突き合いになると阿炎の方が専門である。的確に阿炎の突きが朝乃山のあごを突き上げる。

 この思いがけない猛攻に、朝乃山が突き倒されてしまった。阿炎の気力に満ちた相撲は素晴らしいの一語に尽きるが、朝乃山の相撲には納得ができない。立ち合い自体は踏み込みが悪いわけではなかったのに、一度も左でまわしを取りにいかなかったのはどうしてか。右も、差す気配もなかった。

 おそらく、阿炎の膝の悪さに気を取られ、激しい突きと一気の攻めに意表をつかれてしまったのだろう。朝乃山は口が裂けてもそんな言い訳はしないだろうが、時には心を鬼にしなければいけない。実にもったいない一番を落としたものだ。

 惜しいと言えば、遠藤も大魚を逃してしまった。九分九厘、勝利を目前にしながら貴景勝の右からの突き落としに右足首が返ってしまった。立ち合いから右上手を引き、絶妙のうまさを見せ横綱、大関総なめの偉業を果たすところだっただけに、惜しんでもあまりある一番であった。貴景勝は薄氷を踏むような勝利だったが、執念で粘ったのも立派と言えよう。

 鶴竜はいいところなく敗れて3敗目。内容から見ても、これ以上は無理だろう。まだまだ書きたい相撲もあるが、紙面も尽きる。本日はこれまでにしましょう。

 ところで炎鵬が、勝負が決まってから足をバタバタさせていたが、あれが勝負師の本能なのだろうか。何をやってもかわいいものだ。言っときますが、私は「ソレ」の気はありませんから。おやすみ。(元横綱)

最終更新:1/15(水) 20:58
中日スポーツ

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