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差別防げなかったヘイトスピーチ対策法 絶望から希望へ、標的とされた町 川崎の差別禁止条例(2) 

1/16(木) 7:12配信

47NEWS

 ヘイトスピーチ対策法施行から3年以上が経過した今、川崎市はなぜ、全国初となる刑罰をヘイトスピーチに科したのか。「地域の実情に合わせた」と福田紀彦市長が話すように、川崎はあたかもヘイトの「標的」とされてきた経緯があるためだ。先進的な条例ができた背景を探った。(共同通信ヘイト問題取材班)

 ▽表現の自由を制限されているのは被害者

 市議会で条例案を審議中の昨年12月7日、JR川崎駅前で、排外主義を唱える「日本第一党」が条例に反対する街頭宣伝をした。メンバーはブログで「左翼と在日朝鮮人のやりたい放題を阻止しよう」「在日特権条例だ」などと、デマを含む主張を繰り返してきた。

 差別に抗議する市民も黙っていない。小雨の降る中、約100人が街宣に向い、「条例に賛成、差別に罰を」と書いたプラカードを掲げた。

 第一党や他の団体によるデモや街宣、集会は13年ごろに始まり、川崎市は標的のようにされてきた。在日コリアンが多く住む地域にデモ行進しようとしたり、市議選に出馬した団体メンバーが地域で差別的な演説をしたり。

 そのたびに在日コリアンらは「なぜ公然と差別が行われるのか」と憤り、絶望を深めてきた。差別反対の声を上げた在日3世の女性は、インターネット上で顔と名前をさらされ、脅迫を受け、職場にゴキブリを送り付けられるなどの攻撃にさらされてきた。

 在日コリアンの中には、ヘイト集会や街宣に出くわさないよう外出をためらう人や、ネットの利用を控える人がいる。ヘイト問題に詳しい師岡康子弁護士は、条例成立翌日の昨年12月13日、川崎市内で講演し、こうした現象を「ヘイトによって表現の自由が侵害されている人々がいる」と指摘した。

 ヘイト規制で「表現の自由」問題を議論する際、ヘイトをどこまで規制すべきか、憲法に抵触しないか、という点が常に問題になる。しかし、この議論からはマイノリティーや被害者側の視点が抜け落ちている。師岡弁護士は、ヘイトが存在することでマイノリティーの「表現の自由」が制限されている面にも目を向けなければならない、と指摘する。

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最終更新:1/16(木) 10:24
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