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企業に中途採用比率の公表義務付け 就職氷河期世代や高齢者の採用は増える?

1/16(木) 6:12配信

THE PAGE

 政府が雇用制度改革の一環として、企業に対して中途採用の比率公表を義務付ける方針を固めました。中途比率の公表を義務付けることで、就職氷河期世代や高齢者らの中途採用を増やそうという算段ですが、果たして効果はあるのでしょうか。

中途比率は企業規模に反比例

 現在、検討が進められている施策は、従業員301人以上の企業に対して、直近3年分の比率公表を義務付けるというものです。中途採用の比率は企業規模が大きくなるほど減少するという傾向が顕著となっており、大企業ほど中途採用に消極的です。大企業は基本的に世間体を非常に気にしますから、公表を義務付ければ一定の効果が得られる可能性は高いでしょう。

 大企業の側も以前と比較すると中途採用には積極的になっており、トヨタ自動車は2019年度における総合職の採用において、中途採用の比率を3割に引き上げ、最終的には5割にする方針を明らかにしています。また、新しい技術に対応するためには中途採用はほぼ必須となりますから、大企業も新卒一括採用だけにこだわっていては組織を運営できなくなりつつあります。

雇用の流動性が高まる可能性

 しかしながら、むやみに中途採用を増やせば問題が解決するというわけにはいきません。実は日本の大企業は中途採用を増やす一方、終身雇用の制約上、社員を解雇できず、売上高が伸びていないにもかかわらず、社員総数が増え続けています。業績が伸びていないのに社員数を増やせば当然、1人あたりの賃金は下がりますが、これが日本の労働者の賃金を引き下げる大きな要因となっています。

 企業は無制限に社員数を増やすことはできませんから、政府が中途採用比率の公表を義務付けた場合、企業側は新卒の採用を大幅に抑制するとともに、早期退職などの各種退職勧告を強化する可能性が高いでしょう。中途採用の拡大政策は、結果的には新卒採用の抑制と退職勧告とセットという形になりそうです。

 どこまで意図的なのかは不明ですが、この施策を進めていった場合、日本の雇用制度は欧米では一般的なジョブ型に移行し、実質的に雇用の流動性が高まることになります。この施策の是非はともかくとして、ビジネスパーソンは市場で自分のスキルがどう評価されるのか、真剣に考える必要がありそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1/16(木) 6:12
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