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選抜2か月前はフォームが崩れ投球が嫌になっていた...。興南を春夏連覇に導いたエース・島袋洋奨が語る甲子園の戦いの裏側

1/16(木) 7:01配信

高校野球ドットコム

 トルネード投法で一世を風靡し、興南の春夏連覇に大きく貢献した島袋洋奨氏。世代を代表する投手として高校時代は大活躍したが、この成果の裏側には何があったのか。

【写真】日本代表の1人としても活躍していた島袋洋奨投手

 島袋氏が明かす、甲子園のエピソードをもう一度紹介したい。

選抜優勝前の苦しみと、気付き

 甲子園で優勝する――。
 新チームが船出したときに掲げた道標は、そんな大それたものではなかった。

「自分たちの1つ上の代の時に、春も夏も甲子園に出られたんですが、ともに初戦敗退。ですから、選抜の目標は『1勝する』ということしか考えていませんでした。表向きは『優勝が目標』とは言っていましたけど、みんなが思っていたことは、1回戦をしっかり勝つということだけでした」

 1勝もできなかったとはいえ、島袋は前年の選抜大会では富山商業から19奪三振(延長10回)を奪う快投を披露し、夏も終盤に捕まったものの今宮 健太(現・福岡ソフトバンクホークス)を擁する強力打線の明豊を相手に好投。小さな体ながらトルネード投法から放たれる快速球を武器に勝負する左腕は、見る者に鮮烈な印象を与えると同時に、次への期待も膨らませて聖地を去っていた。

 選抜大会前の下馬評でも島袋以外にも前年夏の甲子園メンバーが多く残り、上位進出が予想されていた。それだけに島袋が言う「1勝」という目標は過小なものに聞こえた。だが、その言葉に嘘がないことは島袋の記憶が証明している。もっとも印象深く覚えている試合は、新チーム発足以降、無敗で勝ち進んでいた大垣日大を相手に10対0で完勝した準決勝でもなく、延長12回の激闘の末に頂点に立った日大三との決勝戦でもない。

「初戦の関西戦です。やっとみんなで掴んだ1勝でしたから。被安打は10ですし、長打も打たれました。でも、スリーベースになりそうなヒットをサードで刺してくれたりバックが助けてくれた。みんなでカバーし合って勝った試合でした。それで一気に波に乗れたというところはありましたね」

 天気にも恵まれた。雨により2日続けて順延となったのだ。
「九州大会でも雨で流れることが多かったので、やりづらさはありませんでした。それに体調も少し良くなかったですし、崩れていたピッチングフォームもギリギリ間に合ったという感じでしたから、むしろ延びてくれて助かりました」

 実は2ヵ月前はどん底を彷徨っていた。ボールを投げることすら辛かった。
「1月頃からフォームがバラバラになってしまって。体重移動も上手くできないですし、フォームがまとまらない。本当に分からなくなってしまって、投げるのが嫌になって、一時期ピッチングをするのをやめました。悩みましたね。考えてやってもできなくて、ストレスが溜まっていく。もう投げやりになっていました。あんなふうになったのは、野球をやってきて初めてのことでした。他の練習があるのに自分に付き合ってくれたキャッチャーにも悪いことをしてしまいました。1ヵ月くらいずっと駄目でした」

 穏やかに話す表情からは想像もできない苦難に直面していた。我喜屋優監督は普段、技術的な指導を選手に積極的にするタイプではなく、選手が悩んでいて、しばらく前に進めていないときに助言を与えてくれるのだという。島袋にとっては、まさにこの時がそうだった。

「我喜屋監督からアドバイスしていただいたのは初めてだったのですが、いきなりゴルフの話をされたんです。『ゴルフって分かるだろ。ゴルフは上体が動いてから下半身が連れて動いていく。おまえも視点を変えて上体から動かしてみたらどうだ』と言われました。自分は下半身の動きばかりを考えていたんですけど、それが良くなかったんでしょうね。我喜屋監督はそれが分かっていたんだと思います。それで少し上体を意識しながらやってみたら、徐々に良い頃のフォームを取り戻すことができたんです」

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最終更新:1/16(木) 7:47
高校野球ドットコム

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