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今や「厚底」一択…禁止の可能性で思い出す水着騒動

1/16(木) 12:12配信

西日本スポーツ

記者コラム

 1960年ローマ五輪の男子マラソンを制したアベベ(エチオピア)は、はだしで走った。そのアベベが60年後のレースを見たら、驚くだろうなぁ…。ピンクや、オレンジと緑の二色使い…。ド派手な厚底シューズが年末年始の駅伝シーズンの話題をさらった。マラソンも含めて数々の新記録を生み出した「魔法の靴」。ついに禁止の可能性まで浮上した。

【写真】ピンク色のナイキの厚底シューズ

 元日の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)と2、3日の箱根駅伝で区間新記録が連発。達成者のほとんどがナイキ社の厚底シューズを履いていた。マラソンの男女世界記録、男子日本記録も、この厚底シューズによって生まれている。以前は「薄底か、厚底か」なんて議論もあったが、今やほぼ厚底一択となった。

 東京都内のスポーツ用品店で反響を尋ねると、やはり厚底に興味を示す客が多いそうだ。フルマラソン4時間台の記録しかない記者も試し履きしてみた。底が厚くて柔らかい上に曲線状。正直、立つのも一苦労だった。ただ、姿勢が前傾になり、走ろうという意識が無くても足が自然と前に出る。何となく「足を使わないで走ることができる」という印象を受けた。

 あえて“厚底断ち”をするケースもある。ニューイヤー駅伝を4連覇した旭化成は最近、本番のレース以外では厚底の封印を勧めている。普段は他社製の薄底シューズや、ナイキ社製でも別のシューズを履く選手も。西政幸監督は「靴に頼ってしまい脚づくりにならない」と狙いを明かす。

 男子マラソンで2時間6分台の自己ベストを持つMHPSの井上大仁は、昨年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)後から厚底に変更。ニューイヤー駅伝では最長4区で区間記録を更新した。40キロ走後の足の疲労も軽減し、数値的にも痛みの無さが証明されたという。

 井上も「ずっと使っているとあまりよくないと聞く」と、ポイント練習では厚底と薄底を履き分ける。「これから先は工夫しながらやっていかないと」。効果は誰もが認めるところだけに、使い方が鍵を握りそうだ。

 そんな話を各所から聞いていたタイミングで、世界陸連が厚底シューズを禁止するという報道が出た。2008年北京五輪の前後に話題となった高速水着「レーザー・レーサー」を思い起こさせる騒動の予感…。技術の進化なのか、違反扱いとなるのか、新局面を迎えた「厚底狂騒曲」。いっそのこと、あのころのアベベのようなはだしスタイルをルールにしたらどうなるだろうか。 (伊藤瀬里加)

西日本スポーツ

最終更新:1/16(木) 14:55
西日本スポーツ

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