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ダルビッシュ有が驚愕した、「キャッチャーの真実」とは? 「日本は結果論で評価しすぎる」

1/17(金) 11:34配信

REAL SPORTS

野球の世界最高峰の舞台、MLBでその存在価値とさらなる進化を見せている、ダルビッシュ有。日本の至宝にして、唯一無二の男が今回、ある人との対談を希望した。SNSでの独自の視点によるキャッチャーの分析が定評で、ダルビッシュをはじめとして多くのプロ野球選手や専門家からの支持を集める、raniさんだ。

トップアスリートと一般人、しかもテーマは「キャッチャー」。ダルビッシュをして「高度すぎて頭おかしくなりそうでした」と言わしめた異例の対談は、MLBの最新動向のみならず、日本野球界の課題をも浮き彫りにした――。

(インタビュー・構成=岩本義弘[『REAL SPORTS』編集長])

日本の評価は「結果論」になっている

――まずは、ダルビッシュ選手はなぜraniさんと対談したいと思ったのか、聞かせてもらえますか?

ダルビッシュ:raniさんは他の人とちょっと視点が違って、見ているところがものすごくニッチなんですよね。キャッチャーのフレーミングとかブロッキングとか、そういうところをよく見ていて視点が面白い。「このピッチャーはこう」とか「このバッターはこう」という話はよく聞くじゃないですか? でも、キャッチャーのことを語る人ってあまりいないと思うんですよね。そういうところがすごくいいなと思ったんです。

――視点が面白かったり、納得感があるものだったんですね。raniさんのように、SNS上で知り合った皆さんとこうして直接連絡を取り合っているんですか?

ダルビッシュ:いやいや、そんなことないですよ。ネット上で知り合った方でLINEのアカウントを知っているのはたぶんraniさんぐらいじゃないかな?

――それはすごい。逆に言うと、raniさんはそれだけ自信を持っていいということですね。

rani:ありがとうございます。では、さっそくですが、いろいろと聞かせていただきます。

ダルビッシュ:どうぞどうぞ。

rani:そもそもなんですけど、キャッチャーを評価するって本当に難しいと思うんですよ。しかも難しい割にキャッチャーの評価は守備から入ろうとすることが多い。他の野手は簡単な打撃から評価されるのに、キャッチャーはやたら守備で評価しようとする。だから評価基準が曖昧なまま進んじゃうというような現状があると僕は思っているのですが、日本とアメリカで、キャッチャーの評価の仕方に違いを感じたりしますか?

ダルビッシュ:日本では、なぜか日本シリーズになるとキャッチャーがすごくクローズアップされることが多いじゃないですか? あれってすごく不思議なことだなと。しかも、クローズアップされるキャッチャーはだいたい、「俺がすべてを握っています」みたいな顔をしている(笑)。でもね、実際はそこまでじゃないと思います。日本では打ち取ったら「キャッチャーの配球が良かった」とか言われるけど、アメリカではそんなフレーズ一回も聞いたことがありませんからね。

rani:ああ、そうなんですね。アメリカではキャッチャーのリードがなくて、投げるほうが(球種やコースを)全部決めているというのは本当なんですか?

ダルビッシュ:いや、キャッチャーも考えますけど、最近はデータが発達しているので、ベンチからのサインをもとに投げることが多いですね。でも、打ち取ったらアメリカの場合は「ピッチャーがすごい球を投げた」となる。一方で日本では、「キャッチャーのあの配球が素晴らしかった」となる。その違いはなぜだか知りませんが。

rani:逆に打たれたらキャッチャーバッシングがひどいですよね。配球ってどれだけ理屈を並べても、批判する人は打たれたという「事実」からスタートしていて、(過程は後出しで)何とでも言えるんですよね。適当にそれっぽいイチャモンをつけていれば、(あとは反論されても)「いや、打たれてるやん」と言えてしまう。だから無敵なんですよ(笑)。あれは本当におかしいと思います。

ダルビッシュ:それは本当にその通りです。結果論ですよね。アメリカの場合は、打たれたらピッチャーとキャッチャーの両方が責められますね。なので「なぜあそこにあんな球を投げたんだ?」とか、そういうやり取りは結構ありますよ。

rani:評価基準が曖昧という話ですが、そもそも評価をするということは(評価するための)何かしらの実績がないとできない。要は「(その人が)何をしたか」がわかっていないと評価などそもそもできないわけですよね。まずその「キャッチャーが何をしているのか」すらあまり認識されていないんじゃないかと思うんです。例えばゴールデン・グラブ賞の評価をする人が何を基準にしているのか。フレーミング(※1)とかブロッキング(※2)とか、何をやっているのか(≒仕事量およびその影響度等)からまず明確にするべきなんじゃないかと思うんですよね。
(※1 ストライクゾーンギリギリの球について、審判からストライクのコールを引き出す技術)
(※2 ワイルドピッチおよびパスボールを防ぐ技術)

ダルビッシュ:確かにそうですね。日本はどうやってゴールデン・グラブ賞を選ぶんですかね?

rani:全くわからないんですよ。イメージですかね。

ダルビッシュ:アメリカではフレーミングとか全部を洗い出していますからね。

rani:そうですよね。何をやっているのかわからないのに決められませんから。今年はロベルト・ペレス(クリーブランド・インディアンス)が受賞しましたけれど、MLBのゴールドグラバーの紹介動画にもフレーミングの映像がばっちり出ているんですよ。(そうやって一要素として当たり前に認知されているわけで)やっぱりそういうところはすごいなと思って。

ダルビッシュ:そういう意味では日本の評価基準ってわかりづらいですよね。実は僕も日本で2回ゴールデン・グラブ賞をもらったことがあるんです。でもはっきり言って僕は牽制もしないし、守備もそんなにうまいわけじゃない。それなのにイメージだけで日本ではゴールデン・グラブ賞が取れてしまう。他の野手でもそうかもしれないですね。

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最終更新:1/18(土) 7:18
REAL SPORTS

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