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スラップスケートOKで高速水着禁止の過去…ナイキ厚底シューズは“技術ドーピング”なのか、それとも技術革新なのか?

1/17(金) 6:07配信

THE PAGE

 単なる厚底で、足に角度をつけられているだけであれば、スラップスケートと同じ原理だろう。だが、カーボンプレートの存在が、明らかに推進力を生み出しているのであれば、浮力がデータで認められた「レーザー・レーサー」と同じく「技術ドーピング」とみなされても仕方がない。今回、世界陸連の調査機関が、どこまで性能を分析して数値化できているかがポイントだろう。

 だが、陸上のシューズのソールには、メーカー各社は、どこも反発力が生まれるような工夫を加えている。ナイキシューズを禁止するためには、ソールの素材や、それを入れる場所、また厚さなどに規定を設けなければならない。この短期間の調査で競技力向上に影響を与えるか、否かの基準をしっかりと数値化して示すことができるのだろうか。
 また公平性という点ではどうだろう。箱根駅伝では、市販タイプの「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」が使用されていた。価格は約3万円。「レーザー・レーサー」は約7万円と高額で、しかも品薄で手に入りにくくジュニア世代の選手への負担や、各国の経済レベルを考えると公平性に欠けると判断された。それに比べると、ナイキシューズは 在庫も豊富で選手が手に入れやすく、公平性は担保されている。ただ約3万円の価格が、世界中のアスリートにとって公平なのか、不公平の議論はあるのだろう。

 ただキプチョゲが履いているのはプロトタイプとされる。もし特別製品が作られ、それが、さらに推進力がアップしたものであるのならば公平性には欠ける。
 またナイキシューズを使用する際には、つま先から地面に降りる走法を身につけなければならないため、選手の足への負担が増して故障リスクが高まるとの指摘もある。
 そしてナイキシューズと「レーザー・レーサー」の最大の類似点は、いずれも一社独占で、国際特許の関係もあり他社メーカーが明らかな類似製品を作ることができないという状況にある。

「記録が出ると規制を設ける」「強い選手や強い国に偏りが出てくるとルールを変える」という安易なルール変更は、スポーツギアの技術革新や、選手の技術の進化にも影響を与えることにもなりかねない。また今回、ナイキシューズの禁止時期が五輪前になると、このシューズの使用を前提に、東京五輪対策を練ってきた選手へ大きな影響を与えるだろう。果たして世界陸連は、どんな結論を出すのか。使用禁止を決断するのならば、その実施時期はいつになるのか。いずれにしろ肝心のアスリートの立場を無視したような騒動に発展することだけは避けなければならない。その答えは、スポーツ界の未来を占うようなものになるのかもしれない。

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最終更新:1/17(金) 21:41
THE PAGE

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