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韓国・中国に追い込まれるニッポン造船、「最後の再編」へ

1/18(土) 14:39配信

ニュースイッチ

コスト削減、船種絞り込みも

 造船業界は2019年末、建造量で国内1位の今治造船(愛媛県今治市)と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)が、資本・業務提携することで合意した。4位の三菱重工業も長崎造船所香焼工場(長崎市)を、3位の大島造船所(長崎県西海市)へ売却すると発表。業界再編に向けたムードが、にわかに高まっている。

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 再編ムードがここへ来て高まった理由は、造船生産量で日本より上位の韓国、中国企業の動向だ。韓国は首位の現代重工業と2位の大宇造船海洋が経営統合作業を進めており、中国は首位の中国船舶工業集団(CSSC)と2位の中国船舶重工集団(CSIC)が、昨年11月に経営統合を完了した。両国とも統合を支援する政府の動きが背景にあるとされ、公正な価格競争と相まって日本企業の危機感は強い。

 建造量上位の複数社が経営統合すれば、造船所のインフラを生かして同型船を安く建造できる。造船も自動車などと同じく、同型船を大量建造する方がコスト面では圧倒的有利だ。種類の違う船を1隻ずつ建造する方法だと、設計や開発費用もかさむ。同型船の連続建造の場合、1号船で得たノウハウを2号船以降の建造に生かせる利点もある。

 1社当たりの規模で劣る日本勢は提携や、得意とする船種に絞り込む方法で対抗する。今治造船や大島造船所はバラ積み船に強い。住友重機械工業は中型タンカーに特化することで、活路を開く。川崎重工業や三井E&S造船(東京都中央区)は、中国合弁企業の低コスト製造力を生かして内外で受注を伸ばす考え。「坂出工場から液化天然ガス(LNG)運搬船の建造技術を供与して中国で作れば、韓国企業より安い値段で船を建造できる」。川崎重工業の金花芳則社長は強調する。

 20年1月から国際海事機関(IMO)による船舶燃料油中の硫黄分濃度(SOx)規制が強化され、環境や省エネ技術に強い日本メーカーには追い風だ。だが韓国に加え中国も急速にレベルを上げているとの観測もあり、価格競争がこの分野でも起こる可能性は否定できない。「船主が様子見姿勢を続けている。韓中の安値攻勢で、赤字覚悟で受注せざるを得ない状況に追い込まれている」。住友重機械工業の下村真司社長は危機感を募らせる。

 提携や再編では、造船所の統合が不可欠だ。得意船種や独自技術を持たない造船所はもちろん、サプライチェーンの関係で離れた場所にある造船所は苦しい対応を迫られる。LNG燃料船の新造や防衛・海洋開発の高付加価値船など明るい話題もあるものの、韓中との体力差を前に再編の動きは続きそうだ。

日刊工業新聞・嶋田歩

最終更新:1/18(土) 14:39
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