ここから本文です

センターで23年ぶり、世界史B「“全員正解”ミス」はどんな誤りだったか【センター試験2020】

1/19(日) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

最後となる大学入試センター試験の1日目(1月18日)、「世界史B」で出題ミスがあった。大学入試センターは、この問題について「受験者全員に得点を与える」と発表した。本試験で全員が得点することになるミスは、1997年の日本史A以来で23年ぶり3回目。

【全画像をみる】センターで23年ぶり、世界史B「“全員正解”ミス」はどんな誤りだったか【センター試験2020】

どんな出題だったのか?

出題ミスがあったのは、世界史Bの大問1の問5。「下線部5(支配体制)」に関連して、制度や政策について述べた4つの文から正しいものを一つ選ぶものだった。

大学入試センターは「選択肢1」を正解としていた。

選択肢1の文中にある「魏」とは、中国史の三国時代(220年~280年)に登場する国の一つ。「蜀」や「呉」と中華統一をかけて覇を競った「魏」を指す。

「屯田制」とは、国家が官有地に耕作者の集団をおいて、土地を耕させる土地政策のこと。これは魏の有力な財源となった。

なぜ「ミス」だったのか?

では、なぜこの問題が出題ミスだったのか。それは中国史において「魏」という国が複数あることに起因する。

かつて中国では三国時代の「魏」のほかに、戦国時代(前403年~前221年)にも「魏」という国が存在した。

この「魏」は、群雄が割拠した戦国時代に「戦国の七雄」の一つに数えられた強国だった。しかし前225年、のちに中国を統一する「秦」に滅ぼされた。

つまり今回の問題では、文中の「魏」が「三国時代」か「戦国時代」か限定されていなかった。そのため受験者が選択肢1を「誤り」と解釈する余地が生じたことになる。

来年度からは「大学入学共通テスト」がはじまるが…

31回目の今年度で、大学入試センター試験は幕を下ろし、来年度からは「大学入学共通テスト」が始まる。

当初は新たなテストの「目玉」として国語と数学で記述式問題を導入すること、英語では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を測る民間試験を利用することを決めていた。だが、どちらも来年度の導入見送りが決まった。

主要教科では答案枚数が50万枚以上になることを勘案すると、記述の採点者によって評価がブレる可能性は否定できない。採点ミスを完全になくすことは、技術的にも限界がある。

また、センター試験を利用する受験生は、自己採点をもとに自分が出願する大学を決める。記述式では自己採点が難しく、出願に影響を与えることは必至だ。入試ではたった1点でも合否に関わる。

出題ミスや採点ミスによって、受験生の努力が予期せぬ形で歪められるのではないか。こうした懸念は、これまでセンター試験を担ってきた大学入試センターも認識し、文科省に指摘している。

ひとまず記述式や民間試験の利用は白紙となったが、センター試験がなくなり「大学入学共通テスト」が来年度から始まることは揺らいでいない。

すでに例題の作成や試行調査が実施されているが、受験生の懸念や不安を払拭することができるのだろうか。

白紙となった来年度の「大学入学共通テスト」の国語・数学の問題構成などについて、大学入試センターの山本廣基理事長は「専門家による検討を行い、できる限り速やかに方針をお示しいたします」とコメントしている。

(文・吉川慧)

吉川慧

最終更新:1/20(月) 0:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ