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水戸・台風19号被災地域 町内会維持ピンチ 募る危機感 住民減少、解散も

1/19(日) 18:00配信

茨城新聞クロスアイ

台風19号による浸水被害の影響で、被災地の地域コミュニティー維持が困難になりつつある。地域外への移転や公営住宅への一時入居などにより、住民が減ったためだ。被害の大きかった水戸市飯富地区では町内会が解散するケースも見られるなど、「町内会加入率が落ち込み、運営が難しくなる恐れもある」と、住民は危機感を募らせている。(水戸支社・前島智仁)

■戻らず
「何十年も付き合いのあったご近所さんが、だいぶ減ってしまった」

同市藤井町の安斉邦久さん(82)と昭子さん(77)夫婦の自宅は、昨年10月の藤井川、西田川の決壊、越水で、床上1・2メートルまで浸水した。現在は市内の公営住宅で暮らしながら、自宅の片付けに通う。今後、本格的な修理工事が終われば、自宅に戻る予定だ。

安斉さんは近隣の計6軒で、町内会「駅前1班」を組織。回覧板や可燃・不燃ごみ置き場の管理、集金など、各世帯が持ち回りで班長を担い運営してきた。しかし、浸水被害の影響で5軒が公営住宅や親類宅などへ移転。このうち4軒は「もう戻ってこないようだ」(邦久さん)という。

安斉さんを含め、2世帯に減った駅前1班は昨年11月、市住みよいまちづくり推進協議会に解散を届け出た。今後、隣接する町内会に加入する予定だが「近所の知人で10軒ほどは自宅に戻ってこないと聞いている」(昭子さん)といい、ほかの町内会でも統廃合に至るケースが出かねない。

■1割超が移転
同市内の浸水被害により、公営住宅へ一時的に入居しているのは87世帯。市が借り上げた民間住宅への入居は7世帯(それぞれ1月16日現在)。うち9割が同市藤井町、岩根町、飯富町の住民が占める。

3町の735世帯(昨年10月1日現在)のうち、住民の1割超が公営住宅などに引っ越した計算だ。親類や離れて暮らす子の世帯宅などに身を寄せる被災者も含めると、さらに多くの移転者がいるとみられる。

同地区の町内会でつくる飯富自治実践会によると、同地区の町内会は51組織。今回の被災で解散したのは駅前1班のみにとどまるものの、「地区内で多くの方が被災し、各町内会の会員が大きく減っている」状況にあるという。

このため、町内会など地域コミュニティーの維持に不安が残る。同実践会の加倉井喜正会長(69)は「高齢化も進んでいる。組織として、改めて運営を見直さなければならなくなる事例が出る恐れはある」と危機感を抱く。

■支援の動き
一方で、地域コミュニティーの維持を支える動きも出始めた。同市岩根町の山王神社では11、12月の2回、民間団体による「310食堂inいわね」が開かれ、炊き出しなどによる地域住民の交流の場が設けられた。

同市藤が原の県営住宅でも一時入居する被災者向けに「鍋を囲む会」や「もちつき大会」などのサロン活動が行われている。運営に関わる同所の佐々木恵美子さん(53)は「近況報告などの場を提供することで、地域のつながりを再確認してもらいたい」と、開催の意図を話す。

飯富地区では被災以降、市民運動会や祭りなど催しの中止が続いている。加倉井会長は「4月にはさまざまなイベントの再開にこぎ着けたい。地域活動を再び活発化させ、地域住民で支え合いながらコミュニティーを維持していく必要がある」と力を込めた。

茨城新聞社

最終更新:1/19(日) 18:06
茨城新聞クロスアイ

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