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豪森林火災、最前線のコアラ病院の現状 ベッドは常にほぼ満床

1/19(日) 12:04配信

The Telegraph

【記者:Giovanni Torre】
 オーストラリアのポートマッコーリーにあるコアラ病院の集中治療室の一室。ここで、コアラの「フレーム(炎の意)」が数週間ぶりに木登りをした。毛は普段より短く、ところどころ茶色がかっている。危うく死にかけた証拠だ。フレームは救助した人が付けた名前で、搬送された時、足や鼻にはやけどを負い、毛はところどころ焦げていた。6週間ほどかごの中でうずくまっていたが、何とか部屋の中の木を登る体力が戻った。

 オーストラリアで発生した森林火災は野生動物やその生息地に大きな打撃を与え、シドニーから390キロほど北にあるコアラ病院は、負傷したコアラであふれ返っていた。

 猛威を振るった火災は840万ヘクタールの草原地帯を焼いた。焼失面積はスコットランドの国土より大きい。また、絶滅が危惧されるコアラ8万匹のうち、約40%が死んだという。

 オーストラリアは今年、夏の初めから極度の乾燥と記録的な高温に見舞われ、最大で約5億匹の野生動物が死んだ。

 コアラ病院では、消防隊員、火の手から逃れる住民、通りかかった避難民らの手によって、燃え上がる草原から救出されたコアラ75匹を治療している。道路の脇などに倒れているところを発見されたのだ。治療を受けるコアラの数は増え続けている。

 同病院の広報担当者スー・アシュトン氏は「コアラたちはショック状態で、ストレスを受けている。人間を見たことも、車に乗ったこともない」と述べる。「まず麻酔をかけて壊死した皮を切除し、沐浴させてクリームを塗り、ガーゼを当てて包帯を巻く」

 救出されたコアラは、獣医師がチームで治療する。足1本ずつを4人で担当し、5人目が心拍と呼吸を監視する。次々にコアラが搬送されてくるため、複数のチームが24時間体制で治療に当たっている。

 初期手術の後、スタッフたちは定期的に傷を治療して包帯を巻き直し、鼻や耳など繊細な箇所のやけどを治療する。

 病院に14部屋ある集中治療室は、ほぼ常に満床だ。しかし昨日見学した際、ある空き部屋でアシュトン氏が足を止めた。「安楽死させるしかなかった」「先週乾燥した地域から搬送され、臓器がひどく損傷していた。とても悲しかった…全力を尽くして助けようとしているのに」と、その部屋で治療を受けていたコアラについて語った。

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最終更新:1/19(日) 12:04
The Telegraph

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