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なぜ渋谷には「車椅子の人」がいないのか? 分身ロボット開発者が突きつける「孤独」という名の社会病理

1/20(月) 19:30配信

アーバン ライフ メトロ

外出困難な人たちが遠隔でカフェの店員に

 難病や重度障害で外出困難な人たちが自身の代わりとなるロボットを遠隔操作し、店員として働くカフェがあります。しかも場所は、渋谷のスクランブル交差点の目の前。一体どんなカフェなのでしょうか。

【調査結果】これが現実。日本の「孤独死」の実情

 カフェの名前は「分身ロボットカフェDAWN Ver.β(ドーン・バージョン・ベータ)」。2020年1月16日(木)から1月24日(金)までの期間限定で、スクランブル交差点の目の前にある渋谷「QFRONT」(渋谷区宇田川町)7階のブック&カフェ「WIRED TOKYO 1999」内でオープンしています。

 オリィ研究所(港区芝)が開発を手掛ける分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が、カフェのサービススタッフとして実際に働く試み。分身ロボットカフェを使った取り組み自体は、これまで日本財団ビル(港区赤坂)や「3×3 Lab Future」(千代田区大手町)など、クローズドな条件で実験的に行われてきました。

 今回は渋谷スクランブル交差点の目の前にあるカフェで、より大勢の人たちや渋谷の若者に開かれた格好となっています。

 1月16日(木)に行われたプレス向け体験会では、オリィ研究所の共同創設者 代表取締役所長、吉藤オリィさんが開催意図を説明。自身も体が弱く3年半の不登校を経験し、“孤独の解消”の必要性を強く感じてきたといいます。テクノロジーによって孤独の要因となる「移動」「対話」「役割」の障害を取り除くことを目指し、「OriHime」の開発を進めてきました。

「身体至上主義」が孤独を助長する

 吉藤さんは、現在のあらゆるサービスやお店などは人間の体が元気に動くことを前提に作られている「身体至上主義」だと指摘します。しかし、外出困難は心身の障害のみならず、高齢化や物理的な距離感など、さまざまな事情によって起こります。

「自分たちが寝たきりになったとき、どのように孤独にならずに生きて行けばいいか。乙武さんやれいわ新選組の木村英子参院議員など、障害者の希望の星は増えてきましたが、誰もが彼らのようになれるわけではありません。今、『パイロット』として働いてくれている人たちは、寝たきりの患者ではなく寝たきりの先輩として、生き方や働き方のモデルを見せています」(吉藤さん)

 吉藤さんが「パイロット」と呼ぶのは、「OriHime」を操作する人たちのこと。主に筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄性筋萎縮症(SMA)、血液がん、呼吸障害、といったさまざまな事情で外出困難な人たちです。

「分身ロボットカフェDAWN Ver.β」は、各テーブルに配置された手のひらサイズの分身ロボット「OriHime」が注文を受けて、店舗に送信。人間のスタッフが用意した飲み物や食べ物を全長約120cmの「OriHime-D」が各テーブルまで配膳します。手や首の動き、移動も自分たちで操作しているそう。

 ロボットにはカメラ、マイク、スピーカーが搭載されており、客側はパイロットの声のみが聞けますが、パイロットには客側の様子が見えるようになっています。また目が見えなくても指先だけで簡単に操作できたり、目しか動かなくても視線入力で文字を入力して読み上げられたりと、簡素化と自動化を実現したテクノロジーを使用。どんな人でも働くことができるだけでなく、客側もしっかりとサービスを享受できます。

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最終更新:1/20(月) 21:32
アーバン ライフ メトロ

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