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マツダ、生産の一部をタイから国内に切り換え 日本の賃金が相対的に低下

1/20(月) 11:50配信

THE PAGE

 自動車メーカーのマツダが、タイで行っていた自動車生産の一部を日本国内に切り換える方針を固めたことが話題となっています。タイの通貨であるバーツが上昇していることが直接的な原因ですが、日本経済の低迷が長引き、日本の賃金が低下していることから、国内生産に戻しても以前ほど人件費負担は増加しないという、日本人にとっては、ストレートには喜べない事情も関係しているようです。

タイの通貨バーツは2012年から1.5倍

 タイは東南アジアの中でも製造業の生産拠点として発展してきたという経緯があり、マツダ以外にも、トヨタ、ホンダ、日産など日本の主要自動車メーカーがタイに工場を持っています。タイは質の高い労働力を低コストで確保できたので、生産拠点の海外移管には最適な場所だったのですが、各社がタイに進出した結果、タイの経済は順調に拡大し、それに伴ってタイの通貨であるバーツも上昇を続けてきました。多少の上下変動はありますが、タイ・バーツはほぼ一貫して買われており、2012年との比較で1.5倍に切り上がっています。このため、タイで製造した自動車を国外に輸出するとタイの現地法人の業績が悪化するという問題が発生するようになってきました。マツダはこうした事態を受けて、生産の一部を国内に戻す決断を行ったわけです。

 マツダ以外のメーカーも基本的な状況は同じですから、タイでの生産が厳しくなっている可能性は高いでしょう。米国の自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)もタイでの生産を縮小していますから、場合によっては他の日本メーカーも追随する可能性があります。

日本の平均賃金は過去20年間ほとんど上昇せず

 一昔前であれば、日本に生産拠点を戻しても、高い人件費がネックとなり、採算を取るのが難しいという問題がありましたが、幸か不幸か、日本経済の低迷がこうした問題をクリアしています。

 日本の平均賃金は過去20年間ほとんど上昇していませんが、諸外国はこの間に賃金を1.5倍から2倍に拡大させています。東南アジア各国と比較すれば日本の賃金はまだ高い水準にありますが、以前と比較すると日本の賃金は相対的にかなり安くなっており、日本で製造しても採算を確保することは不可能ではありません。

 自動車業界以外でも、キヤノンやライオンなど海外にあった生産拠点を日本に戻すメーカーが増えています。グローバルな生産体制の整理という意味もありますが、その背景には日本の賃金が大幅に安くなったという現実があることは無視できないでしょう。

 国内に雇用が戻ることは良いことですが、低賃金が理由ということになると、わたしたちにとっては何とも複雑です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1/20(月) 11:50
THE PAGE

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