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29歳で突然夫を亡くした私 そして、彼の数々の浮気を知った。

1/20(月) 13:20配信

ハフポスト日本版

湧き上がるパニックを抑えつつ、私は2つ後ろのボックス席にいるグループの方へそわそわと目をやる。

私の隣には彼氏が座り、音程の外れた『ロケットマン』を大声で歌う友人に拍手を浴びせながら囃し立てている。私の心の中の大騒動には気づかず、叫び声を上げて周囲の人々にいっしょに歌うよう勧めている。彼がそれに気をとられていることに私はほっとする。策を立てるしばしの間が必要だ。

私は今、デートをしている。亡き夫の親友の顔をみつめながら

過去7カ月の間、不安な荒波のなかをなんとか漕ぎ進んで、私は熟達の域にまで達した。住宅ローン会社と毎日バトルを交わし、善意の会話に心底では髪を掻きむしりたくなりながらも礼儀正しく微笑み、最近では余程のことがない限り、外から見て取り乱していると気づかれるようなことはなくなった。

しかし今回はそうはいかない。ここに熟成した域は存在しない。2つ向こうのボックス席の見覚えのある顔を、リスクを冒してもう一度見て、ぐっと胸が詰まる。その顔と目が合い、それが嫌悪に歪むのを見る。恐怖で私は席から動けなくなる。逃げ出したりしたら、横を走り去ろうとする私の腕を彼が掴むのではないかと怖くなるのだが、あまりにも取り乱していて、なんでもない素振りをすることもできない。

なぜなら、なんでもなくないから。それどころか、私は今、デートをしている。亡き夫の親友の顔を見つめながら。

恐ろしい目を彼が向けてくる。亡き夫のかつてのルームメイトであり、スキューバダイビングのバディでもあったティムだ。彼は随分酔っぱらっているようで、私の今の様子に不満げだ。困惑と不服とが入り混じっている。私は彼を責めることができない。外から見れば、私は夫を亡くしたばかりで、見知らぬ男性と楽しんでいる夫を亡くした妻だ。しかしFacebookの「複雑な関係」ステータスでさえ、私がこれまで通ってきたものを到底説明することはできない。

私の心痛は、悲しみと喪失感だけではなく、怒りと裏切りが混ざっていて複雑だ。

私は通常の夫を亡くした妻ではない。第一に、私はまだ29歳で若い。そして私の心痛は、悲しみと喪失感だけではなく、怒りと裏切りが混ざっていて複雑だ。7カ月前にマックスが亡くなったとき、ふたりの結婚は窮地にあった。実際、私は彼のプロポーズを受けるべきではなかったのだが、2年前に彼が跪いてプロポーズしたときに、船は乗り出してしまった。私たちはセラピーセッションを1度受け、2度目を受けようとしていたところだったが、受けてもその嵐を乗り切ることはできないだろうと私には分かっていた。

私は結婚とそこで起きたことについて考えるとき、いつも頭が海に関する比喩に走ってしまう。それも無理ない...マックスは昨年の感謝祭の日に、スキューバダイビング中の事故で亡くなったのだ。皮肉にも彼は、スキューバダイビング界でプロとして高く評価されていたひとりだった。そして彼もまだ30歳の若さだった。

夫を亡くした妻はみんな、ある経験を共有する。自分の婚姻状況が変化したその日の一瞬一瞬の記憶が、許可もしないのに頭のなかに刻み込まれる。時間が重く感じられ、水面下に引きずり込まれたようになる。懸命に努力してゆっくりと進む感じだ。人々という水面に浮かぶ断片が寄ってきては静かに離れていく日々になる。私たちの指は繰り返し電話をかけまくり、知らせを伝える。私の場合は考える間も置かずに次の電話をかける。なぜなら危険は、一息つくところに訪れるものだったから。

これらの瞬間が、否応なく夫を亡くした妻たちを団結させるのだ。ノーラ・マクイナーニーが著書『The Hot Young Widows Club(夫を亡くしたホットで若い妻クラブ)』のなかで、それをうまく言い表している。「あなたをここに迎えるのは残念なことですが、あなたが私たちを見つけてくれて嬉しく思います」。しかしマックスが亡くなって間もなく私を襲った第2の打撃は、さらに会員条件の絞られたクラブ、そしてさらに好ましくないクラブへの参加資格を私にもたらした。でもそこには、自分たちが自覚する以上に多くの人々が属しているのだ。

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最終更新:1/20(月) 13:20
ハフポスト日本版

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