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音楽好きにこそ観てほしい映画。ミュージシャンとの“二刀流俳優”上杉柊平がアツく語る『サヨナラまでの30分』

1/21(火) 12:01配信

エムオンプレス

新田真剣佑と北村匠海がW主演を務める映画『サヨナラまでの30分』(1月24日(金)公開)。メジャーデビューを目前にしたバンド「ECHOLL(エコール)」の復活と再生を描いた青春音楽ラブストーリーで、バンドのドラムを担当する重田を演じるのが、映画『リバーズ・エッジ』でどうしようもない苛立ちを抱える若者を演じて強烈な印象を残し、ドラマ『チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください』から『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』と出演作が相次ぐ上杉柊平だ。ヒップホップクルー「KANDYTOWN」のメンバー、HOLLY Qとして音楽活動もしている彼は、初の音楽映画にして、初のドラマー役にどう挑んだのか。4人組ダンスロックバンド「DISH//」のヴォーカル&ギターを務める北村と同じく、俳優とミュージシャンという2つの顔と視点を持つ彼に本作への思いを聞いた。

【写真】上杉柊平の撮り下ろしショット

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増永彩子

◆みんなで毎晩ご飯に行ったり、お酒を飲んだり。しっかりバンドをやったなって。
ーー インスタに北村匠海さんとキャンプに行ってる写真が上がってましたね。

行きました、この前。僕、仲良くなった俳優さん、匠海が初めてなんです。今日も連絡取ってました。

ーー どうしてそんなに仲良くなりました? 本作が初共演ですよね。

初共演です。もともと匠海が「KANDYTOWN」を好きでいてくれていて、「がっつりリスペクトしてます!」って言ってくれたんです。そんなの「可愛いな、お前!」ってなるじゃないですか(笑)。彼の作品は結構観てましたけど、メジャーなものが多いから、メジャーなタイプかなと思っていんです。でも、実際はすごいサブカル寄りで、僕が出会ってきた中でも圧倒的にディープな人間で、すごい話が合うなと。OKAMOTO’Sとか、共通の友人も多いし、すぐに仲良くなりました。

ーー 改めて、二人の出会いとなった作品の出発点から聞かせてください。

僕はオーディションでした。音楽映画には興味がありましたし、僕やキヨ(清原 翔)はそういうものを見て育った世代でなんですよ。『NANA』(05)とか、『ソラニン』(10)とか。

ーー 確かにその間は音楽映画が多かったですね。『リンダリンダリンダ』(05)もあって、『デトロイト・メタル.シティ』(08)、『少年メリケンサック』『フィッシュストーリー』(09)、『BECK』(10)……と。

そうそう。バンドものが多かったんですよね。だから、お芝居としても、ぜひやりたいと思って、オーディションに臨みました。

ーー ドラマーというのも決まってなく?

決まってないです。ドラム、ベース、ギター、全部の役を受けました。楽器的には正直、ギターがいいなと思ってたんですけど、キャラクター的に自分に一番近いのはドラマーだなと。

ーー どんな部分で? ぶっきらぼうだけど、誰よりもバンドに対する熱さがある男でした。

その「熱さ」ですね。重田は熱いと思うんですけど、それは僕らが見ている重田に対する客観的な形容詞で、重田自身は自分のことを熱いとは思ってない。じゃあ、なんで熱く見えるんだろうって考えたときに、多分、重田は一番バンドのことを好きなんだろうなと思ったし、彼にはそこしか居場所がないんですよね。その部分が僕と似ていて。僕も好きなものはとことん好きになるし、自分がいれる場所、自分が信じてる場所はあんまりないんです。だから、そこが批判されたり、変わっちゃいそうになると嫌だけど、それ以外の部分はどうでもいいんですよ。そういう、狭く深い部分は僕に似てるなと思いましたね。

ーー では、実際にドラマー役に決まってどう感じました。

ヤバいと思いました(笑)。経験もなかったので、まず、練習しなきゃって。でも、こういうお仕事だからこそ、身に付けられるものがあると思って、ワクワクしました。その時はまだ時間もあったし、「余裕っしょ」って思ってたんですけど……全然余裕じゃなかった(笑)。

ーー 撮影まではどのくらいの練習期間があったんですか。

半年くらいです。でも、劇中で演奏する楽曲が出来上がってなかったので、まずは基礎から始めました。そのうち、楽曲が出来上がって練習を始めたんですけど、なかなか進まず。1月前くらいになって一気にやって、ようやく最後、(撮影ロケ地の)長野に行く2日前に全員で集まってのバンド練習があったんです。

ーー そこまで合わせてないんですね。

そうなんです。初めて全員でやった時はひどくて(笑)。

ーー あはは(笑)。4人で合わせた瞬間に高揚感があったりしたわけではなく?

最初の一発目は「無理だ」って思いました(笑)。2日間で20時間くらいやったんですけど、ちょっとずつ合うところが出てきて、気持ちがいいところ、ズレるところが少しずつわかるようになってきました。最後はすごく、いい終わり方をして。みんなでがんばろうってなれたし、監督はその時点で泣きそうになってました。あの2日間があったからみんなのキャラクターも掴めたし、自分の役もわかった。貴重な2日間だったなって思います。

ーー そこで掴んだのは、先ほどおっしゃってた「このバンドが誰よりも好きだ」っていうことですよね。

そうですね。この役は周りに作ってもらった気がしてて。例えば、(葉山)奨之のヤマケンなんて、「これ当て書きなのかな?」って思うくらい、普段から空気を作ってて。背中で引っ張るまっけん(新田真剣佑)とか、冷静で俯瞰で見てる匠海とか。そういう部分が全部見えた時に、俺はここを好きでいれるなって思ったんですね。それが、この2日間で一番掴めたところです。

ーー もう一人、リズム隊の一員であるベースの森役の清原さんは?

キヨはノリ方でずっと苦労してました。ベースは主旋律じゃないし、ベースとドラムでバンドの基盤を作らないといけないので、二人だけで事前にスタジオに入ったりもしてたんです。その中で、キヨとメロディが変わるタイミングで目を合わせるとか、決め事を作っていたんですけど、その2日間で、決め事がなくても、自然と目が合うようになって。「あ、今、ここでキヨはこうしたいんだな」っていうのがわかるようになった。それは同い年だからなのか、昔から知ってるからなのかわからないけど……、よく喋って、よく引っ張ってくれるのは、奨之とまっけんだけど、キヨがいるから僕もうまく支えられるなっていう気がしたので、すごく助かりました。

ーー ほんとにバンドみたいですね。

ほんとにバンドでした。しっかりバンドをやったなって思います。

ーー 撮影に入ってからはどうでした?

長野に行ってからもよくバンド練習をしてました。地方に行きっぱなしだったっていうのは良かったですね。さっき、「みんなに作ってもらった」っていうのは、キャストだけじゃなく、スタッフさんも込みなんです。照明さんとか、音声さんとか、みんなとほんとに仲良くなって。みんなで毎晩、ご飯に行ったり、お酒を飲んだりして。だから、雨が多いのは大変だったんですけど、撮影自体が大変だった記憶はないです。毎日、あっという間に時間が過ぎていきました。

◆自分で歌詞を書いてラップするのと、手足が別々に動くっていうのはまた違うんだなって思いました(笑)。
ーー 本作ではカセットテープを再生した30分だけ、1年前に死んだバンドのヴォーカル・アキ役の新田真剣佑さんと、人付き合いが苦手な颯太役の北村匠海さんが入れ替わるストーリーとなっています。ドラマーとして後ろから見た二人の印象はいかがでした。

途中で入れ替わるっていうのもあるんですけど、やっぱり違ってくるんですよね。ドラムの叩き方を変えてるつもりはないし、変えるほどの技量もないはずなんですけど、なんかやっぱり気持ちが違って。アキ(新田)はやっぱり引っ張ってくれるし、ついていこうっていう感じになる。颯太(北村)は一緒に走ってる感じになる。どっちも気持ちがいいんだけど、ヤマケンも森もカナ(久保田紗友)も自然と違う音になってるんですよね。それは二人の性格の違いから来るものかなって思います。

ーー 音楽と芝居の融合という部分では?

楽器を演奏しながらお芝居するっていうのは初めてでしたし、面白かったです。ドラムの技術が少しでも上がると、考えながらお芝居ができるようになるんですけど、お芝居のことを考え過ぎちゃうと、ドラムを叩くのが遅れてしまったり。まだ、そこまでの余裕は自分にはないんだなってわかりましたし、改めて、お芝居って、いろんなものの影響を受けてるんだなって感じました。

ーー スタジオでの練習シーンは楽器の演奏も、お芝居もどちらも重要になってました。監督はあのシーンは「“セクシー”がテーマだった」と言ってました。

「stand by me」のピアノバージョンで、音数も少ないし、イントロのピアノの入りから音が色っぽいんですよ。だからこそ、そこは「強く叩くのではなく、色っぽく見せてほしい」って、監督やプロデューサーさんから言われてて。ドラムはあの楽曲が一番難しかったですね。最初に聞いたときは、単音だし、音も少ない分、簡単そうだなと思ってたんですけど、一番苦労しました。だから、撮影時は「色っぽく」なんて考えてる余裕はなかったです(笑)。ただただ、いただいた楽曲になるべく近づけるようにって。

ーー 颯太のピアノに一人ずつ入っていく様が、まるで会話のようでもあり、とても印象的でした。

颯太が一歩踏み出すタイミングだったので、単純に年上の経験者としてサポートできればいいなと思ってて。それこそさっき言ってた、ヤマケンは率先して入っていっちゃうので、キヨと目線を合わせて、「やってみるか」って入っていったのをすごい覚えてます。キヨと意思疎通が取れたシーンでしたし、あのロケーションも好きだった。普段は舞台とかをやってる劇場をお借りして撮ったんです。そういのも含めて、雰囲気のあるシーンになってるなって思います。

ーー フェスでのライブシーンはどうでした?

ある程度、バンドの形が見えてきたのもあったし、疲れたけど、濃かったですね。楽しかったです。3日間撮ってて、体力的にはギリギリだったし、途中足もつってましたけど(笑)、一人じゃなかったから。スタッフさんも100人くらいいたし、エキストラの方々も600人くらい集まってくださって。雨が降ってる中、みなさん、ずっと盛り上がってくれました。あの空間にいた全員で作ったシーンだったからこそ、最後までやり切れたんだなって思います。フェス撮影の初日は(芝居が)硬くて、一人一人のパートも撮ったんですけど、2日目にもう1回、撮り直させてもらったんですよ。監督が「今日のほうがいいから、もう1回やってみない?」って言ってくれて。結果、それで良かったし、ほんとに全員で作ったシーンでした。

ーー ミュージシャンとして使えたものはありました?

正直、全くないですね。あははははは。毎日、ひたすら音楽を聴いてるし、自然とビートを聴いてるっていう部分は若干、活かせたかもしれないです。ドラムの先生も「ヒップホップでビートに慣れてるのかもしれない」とは言ってくれてましたけど…、やっぱり、自分で歌詞を書いて自分でラップするのと、手足が別々に動くっていうのはまた違うんだなって思いました(笑)。

◆オリジナル楽曲はフェス好きや音楽好きが見ても、いい音だなって思ってもらえると思う。
ーー カセットテープというモチーフに関しては、サブスク世代としてはどう感じましたか。

KANDYTOWNもCDとアナログに加えて、カセットもリリースしてるんですよ。しかも、僕、車にわざわざカセットを聴けるようなプレーヤーつけてるんです。だけど、この映画で描かれている「上書き」っていうのは知らなかったので、素敵だなと思いました。劇中でカナが言ってるようにあったかいし、カセットはカセットでいい音がするんですよね。あと、実家に帰って押入れを見たら、母が昔、作っていた……なんていうんですか、ミックステープがあって。

ーー 当時は「マイフェイバリット」って言ったりしてました。

そうそう、書いてありました! しかも、vol.3からしかないんですよ。「1と2はどこにいった?」って聞いても、「そんなの覚えてない」って言ってて。山下達郎さんとか、竹内まりやさんとか、大滝詠一さんとか、吉田美奈子さんとか。僕が好きな曲ばかり入ってるから、「ヤバイの聴いてるな、母さん」って思いながら、たまに聴いてます(笑)。父親はブラックミュージック好きで、父のカセットも僕が好きな、マーヴィン・ゲイとか入ってて。母さんのは聖子ちゃんも入ってたな。カセットは最近流行ってて、カセットの工場が今、出荷数が一番なんですって。でも、じゃあ、今の高校生に身近かって言ったら身近じゃないだろうし。それこそ、サブスクがメインだとは思うんですけど、カセットがなくなっちゃうのは寂しいから、音楽的な目線で見ても、ここでカセットがメインで扱われるのは、いいタイミングだし、嬉しいなと思いました。

ーー この映画は見終わると、サントラも買いたくなります。ECHOLLのオリジナル楽曲を提供しているバンドも豪華ですね。

いい音ばかりですよね。個人的につながりがある人もいて。雨のパレードの(福永)浩平さんには、ちょうど今、トラックを作ってもらってます。この前、ドスノモスっていうラッパーと出した曲を速攻で聞いて。「俺、やりたいんですけど!」って連絡して、アンビエントっぽいビートをヒップホップに寄せて作ってくださいってお願いしてるとこです。andropの内澤さんは、この間、KANDYのZeppでのライブを見にきてくれたし、mol-74は松本でライブをしてたので遊びにいかせてもらって。Ghost like girlfriendさんは会ってないけど、あのスタジオのピアノ曲はすごい好きだし、Michel Kanekoさんもお会いはしてないんですけど、フェスの曲でドラムが難しかったので、「初心者がやるってわかってました?」ってだけ言いました(笑)。
フェスにもよく出ている方々のオリジナル楽曲が、こんなにミックスされてる映画ってなかなかないんじゃないかなって思うし、フェス好きや音楽好きが見ても、いい音だなって思ってもらえると思う。ヴォーカル二人の声もいいし、同じバンドの演奏で、同じ曲でも違って聴こえる。引っ張る人と憂いのある人っていう歌声と歌い方の違いも楽しんで欲しいなと思います。

(c)2020『サヨナラまでの30分』製作委員会

音楽好きにこそ観てほしい映画。ミュージシャンとの“二刀流俳優”上杉柊平がアツく語る『サヨナラまでの30分』は、【es】エンタメステーションへ。

最終更新:1/21(火) 12:01
エムオンプレス

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