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なぜマスコミは、企業の倒産を「社会のせい」にしてしまうのか

1/21(火) 8:37配信

ITmedia ビジネスオンライン

 企業倒産の件数が増えている。

 東京商工リサーチによれば、2019年に倒産した企業は前年より1.8%増えて8383件。ちなみに、前年より増加となったのは2008年のリーマンショックが起きた以来で、11年ぶりのことだという。

企業の倒産件数が11年ぶりに増加(過去の推移を見る)

 という話を聞くと、脊髄反射で「アベノミクスの失敗だ!」と叫びたくなる人も多いのではないか。実際、このニュースを扱うマスコミ各社も言葉の端々から暗に「安倍政権が悪い」ことをにおわせている。

 「消費増税などの影響で企業の倒産件数が11年ぶりに増加しました」(テレ朝news 1月14日)

 「人手不足に加え、消費税増税に伴う個人消費の低迷を受けて中小零細企業の倒産が増加した」(時事通信 1月14日)

 だが、このようなニュースと、調査を公表した当事者のお話にはかなりの”温度差”がある。東京商工リサーチの「11年ぶりの倒産増を読み解く」(1月15日)では友田信男・常務取締役情報本部長が、増えたといっても90年以降の30年間では3番目に少ない低水準だとして、こんなことをおっしゃっている。

 『現状は「不況型」と文字通り捉えるのではなく、競争力のない企業の淘汰と見た方がいい』

 『今、倒産しているのは「息切れ型」だ。各種支援を受けながらも業績が回復せず、誰が背中を押したわけでもなく限界に達した』

 つまり、顧客のニーズを捉えていなかったり、ビジネスモデルが崩壊していたり、といった”残念な企業”が競争原理のなかで自然に潰れているだけというのだ。

 個人的には、マスコミが報じたどのニュースより、この説明のほうがはるかにハラオチしている。今の日本には残念ながら淘汰されてもしょうがないような、「競争力のない企業」がウジャウジャしているのは、さまざまデータが雄弁に語っているからだ。

「現状維持型の小規模事業者」が多い

 さまざまなデータの中でも、中小企業庁の『小規模企業白書2019』の「存続企業の規模間移動の状況(2012年~2016年)」が分かりやすい。

 これは16年時点で廃業せずに存続している事業者、295万社が、4年前の12年からどれほど、従業員を増やすなどして企業規模を拡大させてきたのかを調べたものなのだが、規模拡大に成功したのはなんと7.3万社のみで、95%(281.3万社)が「規模変化なし」だったのだ。

 4年経過しても従業員を増やせていないということは、4年間成長していないことでもある。なぜそんな競争力のないことになってしまうのかというと、答えは明白で「小規模事業者」だからだ。

 「小規模事業者」とは製造業その他で従業員20人以下、商業・サービス業で従業員5人以下の会社である。要するに、家族経営や個人商店的な「零細企業」である。

 このような小規模な会社は残念ながら、4年経過しても10年経過しても成長できないことが多い。ディスっているわけではなく、構造的にかなり難しいと申し上げているのだ。

 まず、売上規模が小さいので設備投資ができない。ということは、時代の変化に対応するようなIT化も遅れるし、新規事業への進出も難しい。変化に対応できないので、売り上げはジリ貧になっていく。当然、給料も上がらないので、新しい人材の獲得もできない。そうなると、昔からやっているビジネスを、昔からいる人材と、昔ながらの方法で続けるしか道がない。つまり「現状維持」だ。

 それを如実に示すのが先ほどの調査である。「規模変化なし」の281.3万社の中で「小規模事業者」は247.5万社と88%にも及んでいるのだ。

 このような「現状維持型小規模事業者」があまりに多いことが、「11年ぶりの倒産増」にも影響を及ぼしているのではないか、と個人的には考えている。

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最終更新:1/21(火) 12:49
ITmedia ビジネスオンライン

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