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養護老人ホーム入所措置、自治体に格差 判断遅れ重症化も…

1/21(火) 10:03配信

西日本新聞

 経済的困窮などを理由に自力では暮らせない高齢者が、「最後のセーフティーネット」となる養護老人ホーム(以下、養護)に入れなくなっている-。佐賀県内の養護で働く40代男性から憤りの声が取材班に届いた。高齢者人口は増えているのに養護の入所率はなぜか減っている。養護は市町が「措置」という権限で入所させるが、調べてみると自治体によって措置の数に大きな差があることが分かった。

【画像】養護老人ホームの入所措置数と待機者

 男性が勤務する県内の養護。入所率は60%台で、入所者のいないフロアはベッドががらんと並び閑散としている。

 「ここは衛生的で食事もおいしいし、スタッフも親切でありがたい」。2017年から入所する90代女性はこう話す。

 夫から暴力を受けて自治体に相談し、15年に宅老所に入ったが2年後に退去を強いられ、結局は自治体の措置により養護に入所した。男性は「適切な措置でもっと早く養護に入り、生活環境を整えるべきだった」と指摘した。

 この養護では近年、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の入所者が増加。「措置が遅くて重症化したケースもある。高齢者が放置されれば孤独死につながりかねない」と懸念する。

財政難が背景?減少傾向

 養護は生活に困窮する高齢者が入所する。県内には12施設あり、入所率(1日時点)は平均87・1%。この10年で10ポイント近く下降した。市町が入所措置した人の数は毎年減少傾向で、理由とされるのが小泉政権の三位一体改革だ。

 措置費はかつて、国が2分の1、県と市町が4分の1ずつ負担していたが、05年度から地方に税源が移譲され、市町の全額負担となった。使途が自由な一般財源のため、財政難を背景にした「措置控え」が指摘されるようになった。

 ある福祉関係者は「国が4分の3を負担する生活保護を受けるようにして、その金で高齢者が有料老人ホームに入るケースがある。養護がない自治体では、措置の意識が低く、潜在的なニーズを拾い切れないこともある」と憤る。

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最終更新:1/21(火) 10:03
西日本新聞

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