ここから本文です

『子どもが最も幸せな国』のとある校長先生が語る憂慮と「小学校教育で重要なたったひとつのこと」

1/21(火) 16:00配信

AMP[アンプ]

「子どもが最も幸福な国」の教育

経済やサステイナビリティの分野で常に「小さな巨人」であり続けてきたオランダに、「子どもが最も幸せな国(UNICEF・2013)」という新たなタイトルがついて数年が経つ。

日本の教育現場で7年働いたのち6年前にオランダに子どもとともに移住した筆者は、日本のそれとは根本的に違うオランダの教育、子どもも大人も楽しくてハッピーに重きを置く学校生活に日々「これでいいの?!」と驚きの連続だ。

しかし最終的にはGDPも高く、幸福感の高い大人を輩出しているのだから、少なくともこの国では「これでいい」のだろう。

そんなオランダの教育の基礎にある基本的な価値観に迫りたく、オランダのとある小学校の校長先生にお話をきいてきたのでまとめたい。質問は大きく分けて3つ、「オランダ教育の現状」「ルールの意味」「初等教育で最も重要なこと」だ。

楽観はできないオランダ教育の現状

今回お話を伺ったのは、オランダ南部にある小学校の校長プージー・ティネマンス氏。

彼女の学校は急成長中の中規模都市のセンターにあり、特別な教育方針や宗教教育を打ち出していない「ごくふつう」の公立小学校で、保護者の国籍も職業もさまざま。

自らが中国系移民の両親を持ち、「古き良き教育」志向を自認する彼女は、オランダを含め先進国の教育の現状を非常に憂いていた。

―まず、オランダの教育の現状をどう見ているか教えてください。総合的には高い評価を受けながら、近年教員不足、基礎学力スコアの低下などの問題も抱えています。

実際、オランダの教育がここ数年「ジリ貧」であることは間違いありません。それはさまざまな要因が絡んでると思いますが、ひとことで言って、近年学校は「箱はどんどん貧相になっているのに、その中にどんどんモノが投げ込まれ続けている」ような状態なのです。

まず、政府による教育予算カット。世界的な経済危機により財政が苦しいのは分かりますが、教育にかける予算も「改革」の名のもとにどんどんカットしています。これは学校という箱をどんどん貧相にしているようなものです。

そしてその壊れつつある箱に、色々なモノが投げこまれ続けている。今まで学校という箱が守るべきものは、言語と算数の教育という主に2つだけでした。

昨今はそこに食育、睡眠に関する教育、善き市民としての規範とモラル、メディアリテラシー、自然との共生などが加わり、学校で教えなければならない領域は常に増加しています。

もちろん健康やモラルは大切なことですが、これは本来親の仕事ではありませんか?しかし、ほとんどの家族は両親が共働きなので、家で子どもにそんなことをゆっくり教える時間はありません。

物質的に豊かな生活を送るためには、どうしても時間が犠牲になる。結果、学校に期待されることが増えるのです。

―「学校の仕事がどんどん増えている」というのは、日本の学校で仕事していた時にも実感がありました。日本の先生たちはそれに加え、報告書などの事務仕事もどんどん増えていますが、オランダでは事務仕事をしてくれるスタッフがいるというのは本当ですか?

残念ながらうちにはいません(笑)。でも私たちの仕事は教育であって事務ではないので、そういう仕事は取捨選択し、最も効率的なやり方で済ませるようにしています。

事務仕事も必要かもしれませんが、意味とモチベーションを伴わないものはやる意味がありませんので、報告書などは目的と最低限のレベルを明らかにして省エネします。高学年の子にお手伝いしてもらうこともありますよ。

1/4ページ

最終更新:1/21(火) 16:00
AMP[アンプ]

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ