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チャリT企画が代表作『それは秘密です。』を6年ぶりに再演

1/21(火) 7:05配信

ぴあ

「ふざけた社会派」を標榜する劇団チャリT企画の次回公演は、2014年初演の『それは秘密です。』の再演だ。

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ある日、ひとりの中年男性が逮捕された。男の名は、小島圭。職業は、売れないお笑い芸人。お笑いコントグループ・TKFの一員として長年活動するものの一向に芽の出る気配はない。そんな小島に、最後のビッグチャンスが訪れた。芸歴20年以上の売れない芸人を対象としたお笑いコンテスト・O1(オーワン)グランプリで決勝まで進出したのだ。ここで優勝すれば賞金1000万円。一躍時の人としてブレイクするのは必至だ。どん底人生に舞い込んだ逆転への切り札に張り切る矢先、小島は突然逮捕されてしまう。しかも、容疑は「秘密」。なんとしてでも小島を救い出し、O1グランプリに出場すべく、同じTKFのメンバーである田村と美紀、そしてマネージャーは奔走する。

そんな不条理劇を、軽妙なセリフの応酬でテンポよく紡いでいくところが、本作の面白さ。突然音信を絶った小島を探そうとする田村たちの前に、次々と現れる謎の人物たち。そのたびに、自分たちの知らない小島の素顔を明かされ混乱する田村たちの様子がコミカルに描かれていて、観る人を飽きさせない。

誰にだって「秘密」はある。どんなに長年連れ添った相手でも、自分から見えている部分はその人間の一面に過ぎず、それが本性とは限らない。そうした人間関係の脆さや得体の知れなさを笑いに変えていくところに、作・演出の楢原 拓のウィットを感じる。

「社会派」と聞くと堅苦しいイメージが湧いてくるけれど、そこに「ふざけた」とつくのがチャリT企画の妙味。飛び交うユーモラスなやりとりにゲラゲラと笑っているうちに、自然と劇世界に惹きこまれていることだろう。

そうやってお腹を抱えているところで、ふと喉元に刃を突き立てられるから、この作品は面白い。本作が初めて上演されたのは2014年。特定秘密保護法が施行された年だ。当時はこの法律をめぐって盛んに議論が繰り広げられたが、今やすっかり国民の関心は失われた。しかしあれから6年経って、世界をめぐる情勢はますます混沌としている。

そんな今だからこそ、もう一度、本作を観て大いに笑おう。そして、衝撃のラストに打ちのめされてみるのもいいかもしれない。

劇団チャリT企画『それは秘密です。』は1月23日(木)から30日(日)まで東京の座・高円寺1にて上演。

文:横川良明

最終更新:1/21(火) 7:05
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