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南伊豆・弓ケ浜温泉、存続ピンチ 老朽設備改修、町に支援訴え

1/22(水) 17:15配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡県内有数の温泉観光地、南伊豆町弓ケ浜地区で敷設から30年を迎えた温泉配管設備の老朽化が進み温泉の供給量や温度が低下するなど、温泉事業の存続が危ぶまれている。設備改修は急務だが、温泉供給元の民間事業者だけでは資金不足で工事が困難。地元観光事業者らは町へ財政支援を求めるが、公共性や事業の継続性などハードルが高く、不透明な状況だ。

 「行政の力を貸してほしい」。2019年12月、旅館・ホテル経営者らでつくる弓ケ浜温泉を守る会のメンバーが町民約4千人の署名を集め、町に温泉工事に関わる資金不足や支援を訴える要望書を提出した。会の発起人森岡陽子さん(67)は「観光客減少、高齢化が重なり民間の体力が衰える中、行政の後ろ盾がなければ温泉を守るのは難しい」と声を上げる。

 同地区では、民間の温泉供給会社「弓ケ浜温泉」が同町下賀茂地区から約4キロのパイプをつないで源泉を引いている。しかし、管内部は長年、温泉の成分が蓄積して詰まり、源泉の流れを妨げている。さらに配管設備は国道下の地中に埋設しているため、工事改修には2億円以上の資金を要するという。

 内藤じゅん子社長(55)は「年々、温泉需要が低下し経営は苦しい。民間単独で大規模工事すれば経営破綻しかねない状況」と話す。資金調達できたとしても後継者不足問題も抱えている。

 町企画課の菰田一郎課長は、観光振興を図るには温泉は欠かせないとの認識を示す一方、「町全体の公共性や将来の事業持続性が広く認められなければ民間事業への公費支出は難しい」と話す。



 ■税金投入「議論重ねて」

 民間事業者らが行政へ財政支援を求めている南伊豆町弓ケ浜地区の温泉事業の存続問題。税金投入が焦点だが、県立大経営情報学部の金川幸司教授(行政学)は、特定の業者を優遇するなどの問題がなければ自治体が民間事業へ税金投入しても法律上は構わないとし、「合意プロセスが極めて重要で、よく議論を重ね妥当性を判断すべき」と指摘する。

 近年は、過疎地の公共バス路線を維持するため、自治体が民間交通事業者の赤字を負担するケースが増加。清水港(静岡市清水区)と土肥港(伊豆市)を結ぶ駿河湾フェリーを巡っては、航路維持が観光産業や災害対策へのメリットが大きいと判断したため、赤字を理由に事業撤退を表明した「エスパルスドリームフェリー」に変わり、県や駿河湾沿岸の6市町が一般社団法人を立ち上げて昨年6月から事業を引き継いだ。

 金川教授は人口減少や高齢化が加速する社会情勢を踏まえ「より一層、実効性ある税金の使い方をすべき」と強調する。



 <メモ>南伊豆町弓ケ浜地区は「日本の渚百選」に選ばれ、弓状に湾曲した全長約1.2キロの弓ケ浜海岸がある。海水浴シーズンは、毎年5万人以上の観光客が訪れる。

 伊豆半島が観光ブームに沸いた1970年代、弓ケ浜地区では多くの旅館民宿・ホテルが開業し、温泉需要が急上昇した。町観光協会などによると、最盛期は温泉宿泊施設が120軒以上あったが、人口減少や少子高齢化の影響で現在は約50軒にまで減少した。

静岡新聞社

最終更新:1/23(木) 11:41
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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