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SDGs達成のカギになるか?「海水農業」の可能性に迫る

1/22(水) 10:00配信

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今、農業が危機に瀕している。温暖化に起因する異常気象により、世界各地で干ばつや洪水などの災害が発生し、農業への被害が深刻化。2050年には世界人口が90億人を超え、食料需要量が2010年比で70%も増加すると言われている中での危機的状況だ。

農業にとって有害な海水を活用するという逆転の発想

地球温暖化による被害の中でも農業にとって致命的なのが、水や土壌の塩化だ。現在世界中で10億ヘクタール以上もの農地が、塩化の被害を受けているといわれている。

海面上昇によって海水が地下水面に浸透すると、海岸線より遠く離れた内陸でも地下水が塩化されてしまう。さらに一度洪水や高潮などで海水を被った土壌は、二度と農業ができなくなってしまうこともある。

地球上の水の97%以上が海水である以上、農業においても海水を活用する必要があるのは明らかだ。これまで行われてきた方法の多くは、淡水化装置を使って海水から塩分を除去し、農業用水として使えるようにするというものだった。

しかし海水の淡水化には莫大なコストが掛かり、エネルギー消費も激しいため、国連サミットで定められたSDGs(持続可能な開発目標)の方向性とは相容れない部分も多い。

それに対しこの数年で活発になってきているのが、農作物を海水でも育てられるようにするというアプローチだ。農業にとって有害とされてきた海水を活かし、塩化をチャンスと捉える。この逆転の発想にチャレンジしている、オランダとスコットランドでの事例を見てみよう。

塩水でのジャガイモ栽培を可能にしたオランダのSalt Farm Texel

ジャガイモを中心に塩水での穀物・野菜栽培を追求しているのがオランダのSalt Farm Texelだ。国土の25%以上が海抜ゼロメートル以下に位置するオランダにとって、地球温暖化による海面上昇のインパクトは甚大で、国土の3分の1が塩害の危機に瀕しているという。

同社は品種・塩分濃度・作付け時期などの条件を細分化して実験を重ね、塩水や塩化土壌でも可能なジャガイモ栽培のメソッドを確立した。

なお、根から吸い上げられた塩分はジャガイモの葉の部分に蓄積されるため、人体への影響はほぼ無いという。現在ではジャガイモだけでなく、ニンジン、タマネギ、キャベツ、大麦などに関しても海水農業の実験が進んでいる。

彼らの実験により、これまで限界とされてきた塩分濃度の数倍以上の土壌でも農作物の栽培が可能なことがわかり、1年間で28カ国もの国から問い合わせが殺到した。

彼らのメソッドを利用し、すでにパキスタン、バングラデシュでジャガイモの栽培が、ケニアでニンジンの栽培が行われており、土壌に恵まれない途上国での食糧生産量増加にも貢献し始めている。

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最終更新:1/22(水) 10:00
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