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インスタ映えで客殺到の裏にアルバイト管理の苦悩……カフェ店舗経営の課題を解決したテクノロジー

1/23(木) 7:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 外食産業や小売業界は空前の人手不足状態だ。パートやアルバイトの募集に人材が集まりにくいので、超短時間しか勤務しない人たちを雇ってシフトを回していかなければならない。

【写真】話題の「おいりドリンク」

 さらに、より好条件の募集があればアルバイトは簡単に移ってしまう。人の入れ替わりが激しいため、アルバイトスタッフの勤務シフト作成で店長にかかる負荷は高くなる一方だ。店長にとって本来やるべき新メニューの開発や話題を呼ぶための企画、店舗デザインといった作業に手が回らない状態に陥ってしまう。

 新宿の隠れ家カフェ「MIRlitonCafe(ミルリトンカフェ)」も、女性誌を中心にさまざまな雑誌で取り上げられる人気店である一方、その裏ではアルバイト採用の苦労やシフト管理での大きな失敗があったという。こうした課題をどう克服したのか、店長の田中冴季さんに話を聞いた。

面接の無断キャンセルは当たり前!?

―― ミルリトンカフェは新宿御苑前駅から徒歩5分の好立地ですが、このあたりは新宿とは思えないほど落ち着いていていい雰囲気ですね。店舗のデザインもおしゃれですが、客層はどのような人たちが多いのでしょうか。

田中 近隣のオフィスからいらっしゃるサラリーマンや、あと近所の方が多いですね。

―― 田中さんは20代前半で若くして店長になられたそうですが、どういった経緯でミルリトンカフェの店長をやることになったのですか?

田中 以前の職場の上司が今のオーナーなのですが、私は部下のパティシエールとして働いていて、上司に声をかけてもらって独立しました。職場のみんなが頼るほど、上司はすごく仕事ができる人でした。私は仕事ができる人についていきたかったので、独立の際も迷わなかったですね。

―― パティシエールと店舗経営は仕事内容が大きく違うと思うのですが、抵抗はなかったですか?

田中 最初はアルバイトのようなポジションで入るという話だったので、「店長なんて重荷すぎる」と、2016年にオープンしてから1カ月くらいは断り続けていました。でも、新人が採用されて、オーナーが「店長がいないからあの新人を店長にしよう」と言い始めたので、「それはマズい!」と思って私が手を挙げました。

―― おそらくオーナーも田中さんを店長にしたくてそうおっしゃったんでしょうね(笑)。いきなりカフェの店長を任されて、最初は大変でしたか?

田中 最初はお客さんが5人来るだけで喜んでいました。そんななか、オープンして半年以内で、「Hanako」という雑誌で「おいりドリンク」を取り上げてもらう機会がありました。そこからは店舗の外に行列ができるほど、お客さんに来てもらえるようになりました。

―― 「おいりドリンク」はどなたが考案したメニューですか?

田中 私です。「Hanako」からカフェ特集で取材依頼が来たとき、当初はアイスコーヒーを撮るという話でした。でも私は、アイスコーヒーが雑誌に載ったところでお客さんが来るとは思えなくて。写真だとみんな同じ真っ黒の見た目になりますからね。これでは意味がないと思って、撮影日までに急いで考えたメニューが「おいりドリンク」です。

―― 雑誌取材がきっかけでできたメニューなのですね。「おいりドリンク」の「おいり」はあられの一種だそうですが、どうやってこれを知ったのですか?

田中 おいりは香川の嫁入りお菓子です。20歳くらいのころ、香川で結婚式があり、引き出物でいただいて知りました。私が問い合わせた3年前は、まだおいりを使うお店がほぼなくて、今でも直接工場から卸してもらえていますが、今はおいりブームがすごすぎて、いろいろな飲食店さんが電話しても取引できないそうです。

―― 田中さんがきっかけで「おいりブーム」を巻き起こしたようなものですね。「おいりドリンク」の考案には、パティシエの経験が生きたのではないでしょうか。雑誌に取り上げられたあとは忙しくなりましたか?

田中 その後、他の雑誌からも取材が殺到したのですが、一番影響があったのはインスタグラマーに取り上げられたときです。高校生をはじめ、若い女性が店内や店の外を行ったり来たりして、みんな写真を撮っていました。当時は「インスタ映え」という言葉が流行っていた17年ごろだったのですごかったです。雑誌のときはそこまで効果は感じなかったですが……。

―― 雑誌だと誌面を見て「カワイイ」で終わりますが、Instagramやネットで見たあとは「自分で撮ってみよう」となりますもんね。

田中 「めざましテレビ」にも出させていただきましたが、全く反響はなかったです(笑)。1人も「テレビで見ました」なんて言ってくれる人はいなくて。

―― おいりドリンクに殺到したのが若い女性だとはいえ、テレビがそこまで影響力が下がっているとは意外です。メディアやInstagramで注目されると、アルバイトの募集にも応募者が殺到したのではないですか。

田中 一番多いときで100人の応募が来ました。ところが、面接可能日を伝えるメールを送ってもまず返信が来ません。そこで半数が減ります。さらに、返信が来た残りの半数の人と面接日程を決めますが、当日実際に来るのは3分の1くらい。面接できたのは100人中20人くらいでした。結局、その中から2人を採用しました。

―― 100人! それだけ応募が集まったのはすごいですが、面接に来ないことにも驚きます。採用されたアルバイトは何年くらい在籍するものなのでしょうか。

田中 長い人は2~3年ですが、あらかじめ期間を決めて入る人が多いです。こちらもラテアートのスキルを得たい人を採用するようにしているので、「お店や商品がかわいいから」という理由の人はお断りしています。

―― 働く人のスキルアップを考えた採用というのはユニークですね。

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最終更新:1/23(木) 7:00
ITmedia ビジネスオンライン

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