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自らひび直し増殖する「生きたコンクリート」、米科学者らが開発

1/23(木) 10:45配信

The Telegraph

【記者:Sarah Knapton】
 ひびが入っても自ら修復し、さらには新たな塊を産み出すこともできる「生きたコンクリート」が開発された。砂とバクテリアから作ったもので、荷重を支える構造物としての役割を果たすとともに、再生といった生物としての機能も併せ持つ。

 開発したのは、米コロラド大学ボルダー校の研究チーム。論文の首席著者で生物素材研究室を率いるウィル・シュルーバー博士は「フランケンシュタインのような素材だ」と話す。「まさにそのような素材を開発しようとしている。生き続けるものだ。光合成するシアノバクテリア(ラン藻)を使って骨組みに生体鉱物形成作用を引き起こすので、とても環境に優しい」

 生物素材を開発するために研究チームはまず、ヒドロゲル(水ベースのゲル)と砂で土台を作り、そこでシアノバクテリアを増殖、ミネラル化させた。これは海で貝殻が形成される仕組みと似ている。

 この新素材はただ生きているだけでなく、再生もする。乾燥状態では安定しているが、気温と湿度が上昇すると活性化し、増殖する。半分に割って砂やヒドロゲル、養分を足せば、シアノバクテリアが増殖して完全な二つのブロックに成長する。

 シュルーバー博士の研究チームは、ブロックを一つ一つ作製するのではなく、「親」となる1個のブロックがあれば3世代後には8個まで増殖できることを証明。つまり、素材は現場で成長し、どんな形や大きさにもなり得るということだ。

 研究チームは長い間、コンクリートの代替品となる、環境に優しい素材を追求してきた。コンクリートは地球上で水の次に多く消費される素材で、その製造過程で排出される二酸化炭素(CO2)は全CO2排出量の6%を占める。

 研究チームはこの環境に優しい「グリーン・コンクリート」を5年から10年で実用化できると考えている。今後、今回の手法を別のバクテリアに応用し、大気中から毒素や汚染物を取り除くといったより多くの生物的機能を持った新素材の開発を目指す。

 また、研究チームは、こういった新素材は建築資材が限られる火星や月などの環境で使用するのに最適だと考えている。

 シュルーバー博士は「この素材を建設用ブロックとしてさまざまに応用できると見ている。例えば炭素隔離モルタルや軽量コンクリート、生物活性物質で作った路面や災害時の仮設シェルターなどだ」と説明し、「北極や砂漠、さらには別の惑星など、資源が乏しい環境に特に適していると考えている」「大量のセメントを火星に輸送しない。何かしらの生物学的知識を持ち込むことになるだろう。この技術の創造的な応用に限界はない」と話した。

 研究は米科学誌Matterに掲載された。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:1/23(木) 11:40
The Telegraph

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