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天災被害倒産倍増 求められるBCP

1/23(木) 10:13配信

帝国データバンク

 天災被害を主因とする倒産が急増している。ここ数年、日本国内では自然災害が頻発しており、そこに住む人々を初め、企業活動にも大きな影響を及ぼしている。

 今回、帝国データバンクの持つ倒産データから天災被害が一因となって倒産した企業の背景を探る。

豪雨と台風の脅威

 気象庁の2019年の天候と台風のまとめ(速報)によると、年平均気温が1898年の統計開始以降最も高く、台風は平年より多い29個発生した。

 なかでも台風15号、台風19号は記録的な暴風と大雨に見舞われ、企業活動に大きな影響を及ぼした地域もあった。

 そうした2019年の天災被害を起因とした倒産(法的整理、負債1000万円以上)は35件と、前年(15件)の倍以上に増加した。背景には記録的な大雨となった、「平成29年7月九州北部豪雨」「平成30年7月豪雨」の影響が大きい。最も影響を受けた中国・九州地方の倒産は10件と全体の28.6%を占める。

 広島県の豆腐製造業者。麺状の豆腐などのオリジナル豆腐を製造販売していたが、平成30年7月豪雨で被災し、一時休業を余儀なくされた。その後、災害復興支援金などを利用して事業再開するも、思うように業績が回復せず、倒産に至った。

 福岡県の運送業者は同業との競合激化に加え、九州北部豪雨により被災。車輌などが損壊し、事業再開のメドがたたなくなった。

 天災被害に起因した倒産のほとんどは中小事業者。規模が小さければ小さいほど、事業の立て直しは難しくなる。事業再開まで至ったものの、耐え切れず、後に倒産に至るケースがみられたのが2019年の大きな特徴と言えるだろう。

 2019年の台風15号、19号の影響はテレビをはじめさまざまなメディアで多く取り上げられていたが、被害を受けた千葉県、長野県、福島県を中心に影響が出てくる企業も今後増える可能性は十分にある。

キーワードは「野菜」?

 近年は豪雨や台風など、予測できない自然の猛威が倒産の要因となるケースが増えている。しかし、天候不順の影響は業種によりさまざまだ。

 倒産した企業を業種別にみると、天候の影響をよく受けるのは、農・林・漁業事業者。暖冬などの影響は、地域によって本来の生産環境が整備できず、業績にダメージを与える。2019年の天災被害の倒産で、発生件数が東京都と同率でトップとなった静岡県(5件)では倒産した企業すべてが野菜に関係する業者だった。猛威をふるう台風の影響で、ビニールハウスの損傷など事業継続が困難となるケースが多く見られた。

 また、次に影響が見られるのは、野菜なども含む飲食料品を扱う「小売業」「卸売業」業者。野菜など価格の高騰が、消費者の買い控えにつながり、業況の悪化につながる。

 今年に入り、大阪の(株)JFCと関係会社の(株)GFFが民事再生法を申請した。当社は野菜加工業者で、頻発する台風により原材料価格は高騰し、価格転嫁できず収益を圧迫。負債は2社合計で約28億円を超える倒産となった。規模が大きい倒産も発生している。

 こうした自然災害リスクへの対応策として事業継続計画(BCP)策定の重要性は高まっているが、帝国データバンク調査では「策定している」企業は15.0%と策定企業は多くない。今後、企業活動を持続していくポイントとしてより一層注目されていくだろう。

最終更新:1/23(木) 10:13
帝国データバンク

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