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「ヴィーガン」

1/24(金) 7:11配信

マイナビニュース

次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた?」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第30回は「ヴィーガン」。

【写真】米粉のフジッリ、キヌア、カラフル野菜の温サラダ キャロットジンジャードレッシング

「ヴィーガン」って何?

近ごろ、飲食店でヴィーガン(Vegan※ビーガンとも表記)に対応した料理を出すところが増えている。ヴィーガンとは、日本語で「完全菜食主義者」のことだ。

日本でも比較的なじみがある「ベジタリアン」はシンプルな「菜食主義者」を指す。一般的にはベジタリアンは肉や魚を食べない人という定義だが、卵は食べる「オボ・ベジタリアン」や、鶏肉を食べる「ポーヨー・ベジタリアン」などもいる。

ヴィーガンは「"完全"菜食主義者」という日本語訳のとおり、例外なく動物由来の食材は一切口にしない。肉や魚はもちろん、卵や乳製品、ハチミツも対象で、食べられるのは野菜や果物、豆類や穀物など。最近は大豆を使った肉の代替品も増え、肉の食感に近づけたものや、見た目は普通の料理と変わらないヴィーガン料理も多い。

宗教上の理由によるベジタリアンやヴィーガンは昔からいたが、近ごろ欧米では思想的な理由でヴィーガンを選ぶ人が増えている。動物愛護や環境保全のためによりよい選択肢であるという考えや健康的なイメージから、ヴィーガンというスタイルを選んでいるのだ。

「ヴィーガン」メニューはどこで味わえる?

東京五輪を控える日本でも、世界中の人々の多様な食の好みに応えられる必要性が高まり、ヴィーガン料理を食べられる場所が増えてきた。

東京・目白のホテル椿山荘東京内のカジュアルダイニング「ザ・ビストロ」では、外国人客の増加を背景に、2019年6月よりヴィーガンとグルテンフリーの両方に対応した、ヴィーガン料理のフルコース「ヴィーグル ヴィーガン&グルテンフリーメニュー」を通年で提供している。

前菜、メイン、デザートなどで構成され、ディナーは全5品(6,390円)、ランチは全4品(4450円)(※いずれも税・サービス料別)。彩り豊かな野菜をふんだんに用いたメニューは、いかに味に深みやコクを出すかにこだわって作ったそうで、ヘルシーでありながら食べ応えも十分。現在、メインの一品として提供されているフリッジ(らせん状のパスタ)は、米粉を使うことでグルテンフリーにも対応している。

「同コースは、近年増えている海外ゲストはもちろん、日本人でも食や健康への感度が高い方などに幅広くご利用いただいております」(ホテル椿山荘東京マーケティング課 鈴木達也さん)

ヴィーガン対応を始めたのは飲食店だけではない。オフィス向けのおやつの定期便サービス「スナックミーオフィス」では、外国人が多い職場でも安心しておやつが食べられるよう、昨年12月よりヴィーガン・グルテンフリー対応プランの受付をスタート。干し芋やおかきなど40種類以上のおやつを揃えており、すでに外資系企業から問い合わせが来ているという。

「当社ではかたちが見えるリアルな素材を"リアルフード"と呼び、それらだけを使用しています。また、ドライフルーツは素材の味を楽しんでいただくために砂糖は使っていません。随時ユーザーの声をもとに商品開発をし、数十種類の中からセレクトしたものをお届けします」(スナックミー新規事業担当の大本兼也さん)。同プランは大企業だけでなく、少人数のヨガ教室などでも利用できるというから、利用シーンは広がりそうだ。

ユニークなところでは、ヴィーガン日本酒もある。2019年1月、岩手県の蔵元「南部美人」はすべての日本酒(梅酒含む)について、国内外のヴィーガン認証を取得した。

日本酒の原材料は米と水なので元々ヴィーガンの人が口にできるものではあるが、「認証があることでより安心して味わってもらえるようになると考えました」(南部美人営業課長の平野雅章さん)。取得にあたっては、「日本酒は製造工程が複雑、さらに麹菌や酵母など特殊な原料のトレーサビリティ(追跡可能性)も示さなければならず、説明が大変でした」と平野さんは振り返る。

苦労の甲斐があり、認証取得後は日本国内のヴィーガン料理を提供するレストランからの問い合わせが増えたほか、海外でもヴィーガン料理店への売り込みがしやすくなったそうだ。「権八 西麻布」では、南部美人(梅酒含む)とヴィーガン対応寿司を合わせて提供しており、ベジタリアンや外国人客に好評だという。

「ヴィーガンロコモコ」を食べてみた

今回ヴィーガン料理を味わったのは、東京・渋谷スクランブルスクエア内のヴィーガンデリ専門店「ピースカフェハワイ」。ハワイに2010年にオープンした人気のヴィーガンレストランカフェ「ピースカフェ」が、2019年11月に日本初上陸した。

ハワイのオーナーシェフ寺井将太さんは、都内の老舗割烹料理屋に生まれ、和菓子と会席料理の店で働いた経験も持つ和食のプロ。そのため同店の料理は、ハワイ×和食料理人としての感性と技術を生かした「ハワイアン精進料理」がコンセプトになっている。

野菜をふんだんに使ったカラフルなサラダに加えて、見逃せないのがメインのフード。もち粉を使ったチキンや発酵食品「テンペ」のカツ、豆腐を使ったカツなど、一見するとヴィーガン料理とは思えないメニューが並ぶ。

今回は一番人気の「ヴィーガンロコモコ」をオーダー。ロコモコとはご存じ、ハンバーグに目玉焼きがのったハワイグルメの定番だ。とはいえこれはヴィーガン料理。当然ハンバーグに肉は使われておらず、スーパーフードのキヌア等の穀物と野菜で作ったヴィーガンパテとなっている。食べてみると、スパイスや調味料が複雑に組み合わさっており、噛むたびにいろいろな風味や刺激を感じる奥行きのある味。生地はボソボソしておらず、しっとりとまとまっていて食べやすい。さらに30種類の食材や調味料で作ったというデミグラスソースのほどよい酸味やキノコのうまみが、パテのスパイス感とマッチして風味もアップ。目玉焼きは豆腐が原料となっていて、とてもなめらかな舌触りだ。

ロコモコというおなじみのメニューを、まったく新しい食感や味わいで楽しむことができる「ヴィーガンロコモコ」。「何が入っているんだろう?」「どんな味がするんだろう? 」と一口ごとにワクワクが止まらない楽しい食体験となった。

ちなみに同店の利用客はヴィーガンの人が2割ほど。それ以外は美容と健康に感度の高い人などで、リピーターも多いそうだ。ヴィーガン以外の利用客からは「これで動物性の食材を使ってないの?」という驚きの声も多いとか。「ヴィーガンの方には美味しさやバリエーションの多さを、それ以外の方には普段の食事と遜色なく楽しめる美味しい料理である点を支持していただいております」と同店を運営する谷川商店ジェネラルマネージャーの相嘉隆宏さん。同社はヴィーガン専用のセントラルキッチンを備えており、今後は店頭だけでなく各所への配送も展開も考えているという。今後食べられる機会も増えそうだ。

最近は日本企業のダイバーシティ化も進んでおり、食の多様化への対応が求められる機会は今後増えていくはず。最新のヴィーガン事情をおさえておけば、そうしたシーンで役に立つのと同時に、ヘルシーで体にいいものを食べたいと思ったときの新たな選択肢にもなりそうだ。

※価格は特記がない限り税別

古滝直実

最終更新:1/24(金) 7:11
マイナビニュース

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