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小売業70社の平均給与ランキング1位は? 今も続く「百貨店>スーパー>コンビニ」の給与ヒエラルキー

1/24(金) 12:00配信

MONEYzine

■小売業70社の平均給与ランキング、上位は持株会社が独占

 消費税アップの逆風を受けながらも2月、3月の決算が間近に迫ってきているだけに、それぞれのショップは販売目標達成へ向けて全力疾走だろう。今回は、スーパーやコンビニ、百貨店各社の従業員給与に迫ってみよう。

 国内小売業売上高トップ、イオン(8267)の従業員平均年間給与が急上昇したことがある。2009年決算期897万円は、前年563万円からはおよそ300万円のアップだった。持株会社への移行にともない、平均給与算出対象の従業員数が1万4031人から380人と大幅に減少したことが大きな要因だ。

 持株会社の従業員は、グループ戦略の立案やグループマネジメントといった重責を担うのが一般的。販売や製造部門を直接担当する事業子会社に比べて少人数体制でもあり、平均給与が高くなる傾向が強い。

  以下の表は、スーパー・コンビニ・百貨店各社の3年分の従業員平均給与をまとめたもので、ランキングは19年決算期のデータをもとにしている(単位:万円)。今回のランキングでも1位から7位までは持株会社が独占。事業会社として上位にランクインしているのは、パルコ(上場廃止へ)や高島屋(8233)などである。

 個々の企業について見ていこう。主要スーパー・コンビニ・百貨店70社における従業員平均給与トップ(19年決算期ベース)は、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(HD/3222)である。関東が地盤のスーパー、マルエツやカスミなどを子会社に擁する持株会社だ。

 15年に誕生して以来、平均額は900万円の同額で推移。19年決算期における従業員は76人、平均年齢は46歳強だった。自動車や電機、化学といった大手製造業と比べると給料は下回るといわれる流通業だが、トップクラスともなれば相応の水準に届くということだろう。

  800万円台で2位~4位を占めるのが、H2Oリテイリング(8242)、J・フロントリテイリング(3086)、三越伊勢丹HD(3099)の大手百貨店だ。

 H2Oリテイリングは阪急阪神百貨店やスーパーのイズミヤの親会社。J・フロントリテイリングが展開しているのは大丸松坂屋百貨店である。三越伊勢丹HDは百貨店の「伊勢丹」と「三越」を運営。1日平均の売上高がおよそ8億円の「伊勢丹新宿本店」は、日本で最も売れる店舗である。

 流通業の主役の座をスーパーやコンビニに奪われた百貨店だが、老舗大手の給与水準はまだまだ上位にあるようだ。

 5位にランクインしたのはイオンである。売上高が9兆円に迫る同社はおよそ300社のグループ企業を束ね、パートなどを含めれば27万人以上の人材を抱える。人件費総額はこの3年間「1兆1882億円→1兆2270億円→1兆2440億円」での推移だ。

 1000円の商品でいえば、人件費は145円前後に相当。儲け率(売上高営業利益率)が2%台と低迷しているのは、人件費負担が重いことも影響しているのだろう。

 利益に貢献しているのは「金融事業」や「ディベロッパー事業」を手がける子会社だが、株式を上場している流通子会社も多数にのぼる。ランキング1位のユナイテッド・スーパーマーケットHDをはじめ、イオン北海道(7512)、イオン九州(2653)、それにマックスバリュ各社、コンビニのミニストップ(9946)などである。

 6位アクシアル リテイリング(8255)は、新潟が地盤の食品スーパー、原信やナルスなどを従える。2位から6位までが800万円台で、7位パン・パシフィック・インターナショナルHD(7532)、8位パルコ、9位セブン&アイHD(3382)が700万円台で続く。

 パン・パシフィック・インターナショナルHDは、ディスカウントショップのドン・キホーテや長崎屋に加え、スーパー大手のユニーもグループに加えて新たな展開に挑む。20年決算期の売上高予想は1兆6600億円。1兆1900億円を予想している百貨店の三越伊勢丹HDとの差をさらに広げるようだ。

■コンビニ台頭後も変わらない、小売業界の給与ヒエラルキー

 12年の決算期以降、小売業売上高トップの地位をイオンに譲ったセブン&アイHDだが、各種利益水準や財務体質はライバルのイオンに比べて優位にある。ただし、平均年収700万円台前半は、イオンを下回る。同グループにとっては、独自に開発したスマホ決済システムの失敗やコンビニのフランチャイズ(FC)加盟店とのトラブルなどの克服も課題になってきた。

 600万円台では百貨店の高島屋に注目したい。イオンやセブン&アイHD、三越伊勢丹HDなどとは対照的にM&A(企業の買収・合併)とは距離をおいてきたため、経営指標や給与水準などで継続性が見てとれるからだ。

 同社の19年決算期の平均給与は678.5万円(4731人平均、平均年齢46.7歳、平均勤続年数23.5年)。2002年決算期647万円、10年決算期648万円と比較すると30万円強のアップだが、従業員数は02年比では半減、10年比でも1104人減である。平均年齢や平均勤続年数に大きな変化はない。人件費総額のカットと並行して従業員数も減らしたことで、平均給与額がややアップしたことは明らかだろう。

 「酒&業務スーパー」を展開している10位エルアイイーエイチ(5856)は、従業員の入れ替えで平均給与がアップしたと推定される。同社の数値は従業員3、4人の平均。少人数における平均額は、従業員構成によって増減額が大きく出る。

 一方、13位のMrMaxHD(8203)の急上昇は持株会社への移行が要因と見ていいだろう。

 ファミリーマート(8028)やローソン(2651)、MrMaxHD、ミニストップのコンビニ各社も600万円台である。

 コンビニは、わが国における数少ない成長産業として市場規模を拡大。19年1年間の全国コンビニ売上高は約11兆1608億円、店舗数は5万5620店舗(19年末)を数えるまでになった。ただし、平均600万円台は、市場規模の拡大に見合うのか。コンビニが誕生した当時の「百貨店>スーパー>コンビニ」という給与水準に、大きな変化が見られないようだ。コンビニ各社の今後の平均給与の推移には注目したい。

 セブン‐イレブン・ジャパンやファミリーマート、ローソンの上位3社を除いては、赤字傾向に陥ってきた。ライバルとしてのドラッグストアの台頭もある。経営面で厳しいフランチャイズ加盟店へのサポートも不可欠だ。コンビニ各社にとって給与水準を好転させるのは容易ではないようだ。

 16位スリーエフ(7544)の平均給与が上昇傾向を示しているのは、平均給与算出対象の従業員が「254人→97人→36人」と減少しているためだろう。同社は「スリーエフ」ブランド店舗の運営を終了し「ローソン・スリーエフ」ブランドへ転換している。

 上場している小売各社の従業員給与は、400万円台~500万円台が多数派である。19年決算期では500万円台が70社中18社、400万円台が24社だ。

■平均給与500万円台、400万円台の顔ぶれ

 イオンとセブン&アイHDに続くスーパー大手、イズミ(8273)やライフコーポレーション(8194)などは500万円台での推移である。同じく500万円台のPLANT(7646)は、食品を含めた日常必需品を提供する新業態「スーパーセンター」を開発したことで知られる。

 400万円台の神戸物産(3038)は食品中心の「業務スーパー」をFC展開。コンビニのFC加盟店事業を縮小し、ホテル事業にシフトしているのがシー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)だ。ジャパンミート(3539)は「肉のハナマサ」などを運営する。

 新潟を拠点に食品スーパーや弁当給食事業などを展開しているオーシャンシステム(3096)から、山口・福岡・大分でスーパーを運営しているリテールパートナーズ(8167)の8社が300万台である。

 さいか屋(8254)、ながの東急百貨店(9829)、山陽百貨店(8257)、大和(8247)、井筒屋(8260)も含まれているように、地方百貨店の深刻な販売不振を象徴しているようだ。

 68位のオーケーは未上場企業である。首都圏でスーパーを約120店舗運営。19年決算期の売上高は3942億円(売上高営業利益率は4.6%)である。平均給与が320万円台で推移しているのは、「正社員+パートナー社員」の平均額を開示しているためだろう。19年決算期でいえばパート含めた1万2044人のうち対象者は9708人(正社員2963人、パートナー社員6745人)だ。正社員に限った平均給与額でいえば、300万円台ということはないだろう。

 オーケーの平均額対象者1万人弱は、表にした70社では断トツのトップ。2位は6000人台のライフコーポレーション、高島屋とローソンが4000人台である。

最終更新:1/24(金) 12:00
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