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カープ方式徹底で…巨人二軍監督時代に非情通告した3選手【名伯楽 作る・育てる・生かす】

1/24(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【名伯楽「作る・育てる・生かす」】#13

「カープ方式でやります」と鹿取GMと石井球団社長に宣言し、2017年7月、巨人の二軍監督に就任した。私はそれまで二軍で7番だった岡本和真を4番に固定した。

 一方で犠牲になったのは、実績のある「スタンバイ選手」だった。松本哲也(引退当時33=現二軍外野守備走塁コーチ)、藤村大介(同28=現三軍内野守備走塁コーチ)、堂上剛裕(同32=現中日球団職員)の3人である。

 実力は若手より彼らの方が上。彼らが二軍の試合に出れば結果を出すだろう。試合にも勝てるだろう。特に松本なんて一軍クラスの選手だ。

 カープの二軍監督を務めていた時は、松田オーナーには「勝たなくていい」と、はっきり言われていた。

「その代わり、1試合、1打席でもいいから、一軍に上がれる選手をつくってくれ」

 二軍が勝利優先であってはならない。「一、二軍を行ったり来たりしている選手は、二軍では出場機会が限られる」という球団方針がカープにはある。常に5、6年後に出てくる可能性がある選手をドラフトで指名している。5年が経過して一軍に定着していなければ、二軍では次の世代が優先される。 

■「スタンバイ選手として準備しといてくれ」

 私は本人たちを呼んでこう告げた。

「3試合あれば使うのは1試合になる。育成のため若い選手を優先する。松本は守備、藤村は足、堂上は代打。みんな一軍での役割があるだろう。緊張感がある場面で使うようにするけど、二軍の試合で打ったからといって、一軍に推薦することはないから。あくまでスタンバイ選手として、一軍から呼ばれた時に行ける準備をしといてくれ」

 はっきり言って非情な通告である。3人ともその年限りで引退したことは、今でも心が痛む。それでも3人全員が翌年ファームのコーチに就任した。試合に出られないと分かっていても腐らずに若手の手本になってくれた。そんな姿勢、立ち居振る舞い、行動を球団は評価した。岡本は彼らの思いも背負ってグラウンドに立たないといけない。

 その岡本を18年シーズンで我慢強く4番に据え続けたのが高橋由伸前監督である。選手としてはまさに「天才」。私はコーチとして何かを教えた覚えがない。

 1998年、慶大から逆指名で入団。最初からスイングの軌道がきれいだった。小さい時から父親に長い竹ざおを渡され、素振りをしていたという。おかげで上からインサイドアウトでスムーズにバットが出ていた。トップからの肘の入り方は感覚で覚えたという。そんな天才が、巨人入り後、「同じ方向性の打撃をしていてはダメだ」と広角打法を目指すキッカケになったことがある。「2人」の打球に衝撃を受けたからだった。

(内田順三/前巨人巡回打撃コーチ)

最終更新:1/24(金) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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