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痛くない「大人の虫歯」が寿命を縮める 年末年始から1カ月後の今まさな進行中

1/24(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 正月太りを心配している中高年は、同時に虫歯の心配をした方がいい。肥満の裏で静かに大人の虫歯が進行するからだ。厚労省の調査によると、40歳以上の8割は虫歯があり、4割はそれが原因で歯を失うという。歯は1本失うたびに寿命が数年縮まるともいう。元気で長生きしたければ、今こそ歯のケアに気をつけるべきだ。

 出版社勤務のAさんは秋口から糖質ダイエットを始め、100キロあった体重を90キロ台前半に減らした。これに気を良くしたAさんは年末年始に、「ちょっとくらいいいか」と油断したところ、あれよあれよとリバウンド。お正月明けには元の100キロ近くの体重に戻ってしまった。

 Aさんが急激にリバウンドしたのは、それまで控えてきた糖質を一気に体の中に入れたからだ。寒いからと体を動かさず、エネルギーを消費しなかったことから余ったブドウ糖が中性脂肪となり、体内の脂肪細胞にためこまれたためだ。当然、食事は糖質が増え、それを餌にする口腔内の虫歯菌の活動は活発となる。自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「年末年始は旅行などで生活習慣が乱れたせいで歯磨きがおろそかになりがちです。そのため、1カ月後には虫歯になる人が目立ちます。ところが大人の虫歯は自覚症状が乏しいため、中高年はそれに気づきません。定期健診で訪れて『虫歯ができていますよ』と告げると驚くケースが多いのです」

 大人の虫歯が痛まないのは、中高年の虫歯ができやすい場所のひとつが虫歯治療済みの歯だからだ。かぶせ物や詰め物の下の神経を抜いた歯では痛みを感じない。さらに中高年にできやすい歯根部の虫歯は、痛みが出にくい傾向にある。糖尿病の合併症である神経障害を起こしていれば、なおさらだ。そもそも、大人の虫歯は若年者よりも進行のスピードが速い。

「大人は加齢や歯周病などで歯茎が下がるため、硬いエナメル質でなく、歯根の軟らかい象牙質がむき出しになりやすい。そこに虫歯ができやすいのです。虫歯は軟らかい場所が侵食されやすいので、悪化のスピードが速くなります」

 親知らずも大人の虫歯ができやすい場所だ。

 中高年は、「残り少ない歯を、できるだけ残すべき」との思い込みが強く、真っすぐに生えていない親知らずさえも守ろうとする。しかし、抜くべき歯を残したばかりに、かえって親知らずの手前の歯を失うケースが少なくないという。実際、真っすぐ生えない親知らずは歯列を乱し、歯と歯の隙間も多くなる。歯を磨いても磨き残しが多くなりやすい。

 そもそも中高年は虫歯になりやすい要因をたくさん持っている。

「例えば、中高年は持病持ちが多く、糖尿病や高血圧や花粉症などアレルギーの薬を常用している人が少なくありません。こうした人は薬の影響でドライマウスになりやすい。中高年はただでさえ唾液の分泌量が少なくなりがちです。唾液の減少は、虫歯菌を抑える作用や歯を再石灰化して虫歯菌から守る機能を衰えさせるので、虫歯になりやすいのです」

■もっとも良くないのは“だらだら食い”

 お酒を飲んでそのまま寝てしまう中高年も虫歯リスクを高める。

「歯磨きを忘れたり、口呼吸になって口腔内が乾くことも問題ですが、中高年の中には胃液が食道だけでなく、口腔内や耳や鼻まで達する、重度の逆流性食道炎の人も少なくありません。そういう人は胃液で上歯の裏側のエナメル質が溶かされ、そこが虫歯になる場合があります。通常では見られない虫歯です」

 虫歯リスクでもっとも良くないのが、だらだらとモノを口にすることだ。

「年を取ると、一度の食事で食べられる量が減るので、ちょこちょこ食べる人がいますが、歯にはこれが一番いけない。多くの人が勘違いしていますが、虫歯になるのは甘いものを食べるからではなく、食事回数が多いからです。だらだらと食べると虫歯菌が食べ物から糖分を取り込んで歯垢(細菌の塊)をつくり、歯垢から常に酸を出すことで歯を溶かす脱灰の時間が長くなります。その一方で、溶けだした歯を唾液の力で修復してくれる再石灰化の時間が短くなり、虫歯リスクを上げるのです」

 では、今できることは何か?

「食後すぐに歯を磨くことはもちろんですが、歯間ブラシやフロスで歯と歯の間の汚れをしっかり落とすことが大切です。寝る前に洗口液でうがいをすると、唾液の分泌の少ない就寝中の細菌の増殖を抑制し虫歯リスクを抑えることにつながります。最も大切なのは虫歯が見つけやすくなる2月ごろに歯の定期健診に行くことです」

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最終更新:1/24(金) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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