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【論説】新型コロナウイルス、恐れではなく警戒を

1/24(金) 11:51配信

The Guardian

【ガーディアン論説委員】
 中国・武漢市で昨年12月に最初に報告された新型コロナウイルスの話はどうやらここへ来て、一般市民の無関心が、不安さらには恐れにまで変わる転換点に達したようだ。

 こうした懸念をあおるのが、二つの要因だ。一つ目は、春節(旧正月)が刻一刻と迫っていること。中国では延べ何十億という人たちが、今週末は家族と一緒に祝おうと帰省する。二つ目は、2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)への中国の対応だ。中国当局は、何か月もこの問題を隠蔽(いんぺい)した。どの程度の規模かを暴露したのは、勇気ある1人の医師だった。医療専門家は、中国が時宜を得た情報を提供していれば、世界での死亡者数約800人の一部の死は回避できたのではないかと考えている。

 中国は今でもニュースやソーシャルメディアを厳しく統制し、有害だと見なす情報を抑圧している。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らは、実際に報告されている人数よりもずっと多く(約1700人)が新型コロナウイルスに感染していると推定している。しかし政府は、2003年よりもずっと迅速かつしっかりとした対応をしており、より多くの情報を提供している。習近平国家主席は、新型コロナウイルスの流行阻止対策の必要性を強調しており、中国規制当局は、報告を隠蔽(いんぺい)したり遅延させたりした職員は「永遠に恥の柱にはりつけられるだろう」と警告した。

 このウイルスについて、確固とした結論を導くにはあまりにも情報が少な過ぎるし、ウイルスの危険性は無視するべきではない。若い人も高齢者も、そしてもともと健康面で問題を抱えている人も、この代償をすでに実感しており、もっとたちが悪いものに変異するかもしれないとの懸念も存在する。しかし今のところ、SARSのような感染力は見られておらず、中東呼吸器症候群(MERS)ほど高い死亡率でもない。医療専門家は、SARSなどの伝染病の経験から、中国と東南アジアの監視、報告の手順はよりしっかりとしたものとなっていると話す。

 不要に警鐘を鳴らすのは、それ自体が危険な行為だ。次回注意できなくなるかもしれないし、今回過剰反応してしまうかもしれない。厳しい移動規制は、まさに逃げなくてはいけないと人に感じさせるものになりかねない。同様に、議論を封じ込めるのも裏目に出る可能性がある。情報または根拠のないうわさが、あまりにも速くシェアされてしまう世界においてはなおさらだ。中国当局のあらゆる階層において、今回の流行について何も包み隠さないこと、そして収束に向けてたゆまぬ努力をすることが、絶対に不可欠だ。

 私たちもまた、状況を注視しておくべきだ。新たな流行は心配ではある。しかしそれが、研究資金の増額を通じてであれ、あるいは疾病対策には手洗いやワクチンと同じくらいコミュニケーションが不可欠であるとの理解を通じてであれ、次の脅威に向けてよりしっかりと準備するための機会を与えてくれる。【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:1/24(金) 11:51
The Guardian

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