ここから本文です

不適切会計の開示企業2019年 全上場企業中70社、過去最多を更新

1/24(金) 15:01配信

東京商工リサーチ

 2019年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は70社(前年比29.6%増)、案件は73件(同35.2%増)だった。集計を開始した2008年以降、最多の2016年の社数57社、案件数58件をそれぞれ上回り、過去最多を更新した。
 不適切会計の開示は、2008年は25社だった。その後、増勢をたどり、2016年に過去最多の57社を記録した。2017年は53社、2018年は54社と落ち着いていたが、2019年は再び増加に転じ70社と過去最多記録を塗り替えた。
 2019年に不適切会計を開示した70社では、東証1部が49社(構成比70.0%)と7割を占めた。
 内容別では、最多が経理や会計処理ミスなどの「誤り」で31件(同42.5%)。次いで、子会社で不適切会計処理などの「粉飾」が28件(同38.3%)だった。産業別では、最多が「製造業」の30社(同42.9%)。次いで、サービス業の11社(同15.7%)と続く。
 上場大手企業の相次ぐ不適切会計の発覚で、コンプライアンス意識が高まっている。金融庁や東証は、ガバナンスのさらなる向上に向けた指針整備を進め、企業側でも確実に履行できる体制作りが求められている。

※本調査は、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。
※同一企業で調査期間内に2回内容を異にした開示の場合、社数は1社、件数は2件としてカウントした。
※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証1部、同2部、マザーズ、JASDAQ、名古屋1部、同2部、セントレックス、アンビシャス、福岡、Qボードを対象にした。 


◇開示企業数 2019年は70社(73件)
 2019年(1-12月)に不適切会計を開示した上場企業は70社で、(株)MTGと(株)すてきナイスグループ、ユー・エム・シー・エレクトロニクス(株)の3社は、それぞれ2件ずつ開示した。
 上場企業は国内市場の成熟から、メーカーは売上拡大を海外市場に求める動きを強めている。だが、拡大する営業網にグループ会社のガバナンスが徹底せず、子会社や関係会社に起因する不適切会計の開示に追い込まれる企業が増えた。
 (株)MTGは2019年5月、中国子会社の不適切会計を開示したが、同年11月にも韓国子会社での不適切会計の可能性について開示した。
 企業会計は、当然だが厳格な運用を求められる。だが、経営側に時価会計や連結会計など厳格な会計知識が欠如すると、現場で会計処理を誤る事例も生じる。この背景には会計処理の高度化(能力不足)だけでなく、現場の人手不足も要因の一つにあげられる。こうした状況を改善できずに不適切会計を開示した企業もある。藤倉コンポジット(株)は中国子会社の不適切会計処理を開示したが、要因には中国実務に精通する人材不足があったことを理由の一つにあげている。

◇内容別 「誤り」が最多の31件
 内容別では、最多が「誤り」で31件(構成比42.5%)だった。(株)明豊エンタープライズは、外部からの指摘で中国プロジェクト貸付債権に関する貸倒引当金の計上を過年度に遡り実施を迫られた。
 次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」などの「粉飾」で28件(同38.3%)。(株)テーオーホールディングスの子会社は、取引先への請求額を水増し請求し、売掛金を過大に計上していたことを8月7日に公表している。
 また、子会社・関係会社の役員、従業員の着服横領は14件(同19.2%)だった。「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」などで、個人の不祥事にも監査法人は厳格な監査を貫いている。

◇発生当事者別 「会社」が30社でトップ
 発生当事者別では、最多は「会社」の30社(構成比42.9%)だった。会計処理手続の誤りや事業部門での売上の前倒し計上などのケースがあった。
 「子会社・関係会社」は25社(同35.7%)で、子会社による売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立つ。「会社」と「子会社・関係会社」を合わせると55社で、社数全体の約8割(同78.6%)と大半を占めた。

1/2ページ

最終更新:1/24(金) 15:01
東京商工リサーチ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事