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大好きな母が…中1を“ゲーム漬け”にした辛すぎる現実「ネットなら孤独じゃない」

1/26(日) 6:16配信

沖縄タイムス

【「独り」をつないで ひきこもりの像】 いじめで不登校に(上)

 中学1年生の時、沖縄本島に住むシンスケさん(25)=仮名=は、バスケットボールに熱中していた。同級生、先輩ともうまくやっていたつもりだが、次第に練習相手がいなくなり、シューズをぬらされた。身長140センチ台の小柄な体形、前歯がやや突き出た口元をからかう発言も耳にするようになり、楽しかった部活が次第に苦痛になった。「何が悪いのか、自分には心当たりがなかった」

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 ◆心配かけたくない

 間もなく、学校からも足が遠のいた。ちょうどその頃、母親が「前頭側頭型認知症」という病を患った。小学校教師だった母は、勉強を頑張るととても喜んだので、シンスケさんは期待に沿おうと努力した。

 だが、母の体調は悪くなる一方。着替えや入浴といった身の回りのこともできなくなっていった。その姿を目にするのがつらく、悩みも深まった。

 父親は看病に付きっきりになった。出勤前に子どもたちの食事を用意し、妻の介護も担う。入院してからは早朝に家を出て、病院から帰るのは午後10時すぎ。祖母がシンスケさんと姉2人の面倒を見たが、シンスケさんは「心配を掛けたくない」と、誰にも苦しい気持ちを打ち明けなかった。

 ◆ネットカフェ通い

 学校に行くように見せ掛けて自宅にこもったり、ネットカフェに通ったりする日々が始まった。

 自宅は2世帯住宅の2階。1階の祖母の家で朝食を取った後、「行ってきます」と伝え、向かったのはネットカフェ。父親の財布からこっそり金を取り、開店から閉店まで10時間以上入り浸った。

 はまっていたのはゲーム。シンスケさんは葛藤から目をそらすように没頭した。

 父親が「外に行くよりは」とパソコンを購入してからは自宅にひきこもった。対戦型や冒険型のオンラインゲームにはまり、食事やトイレに行く時間も惜しんでパソコンの前に座った。

 「喉が渇いても、水を取りに行くよりゲームをしたかった」と思い起こす。夜通し没頭し、眠りに就くのは早朝5時。早い時には午前9時には起きて、再び画面に向かった。

 ◆人間関係の広がり

 ゲームにはまっていたのには理由がある。「孤独を感じることがないから」。ログインすれば、そこには必ず誰かがいて、年代も性別も職種もさまざまな人たちとつながることができた。

 「対話しながらなので、プライベートな話をすることもある。自分が不登校だと知って、相談に乗ってくれる人もいた」

 ネット上には「リアルの社会にはない楽しさと、人間関係の広がりがあった」と実感する。そのおかげで「生活はひきこもっていたけれど、心はこもっていなかった」。

 (「家族のカタチ」取材班・嘉数よしの)

<いじめで不登校に(中)>に続く

最終更新:1/27(月) 16:10
沖縄タイムス

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