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本当は怖い歯周病 生活習慣病と深い関係

2/3(月) 11:33配信

山陽新聞デジタル

 歯ぐき(歯肉)が腫れて出血し、放っておくと歯がぐらついて抜けてしまう歯周病は、成人の8割に何らかの症状が見られるとされるほどありふれてはいるが、本当は全身を脅かす怖い病気だ。糖尿病をはじめとする生活習慣病と歯周病との深い関係などについて研究を進めている岡山大学病院歯周科(岡山市北区鹿田町)は、自覚症状が乏しく、重症化するまでなかなか気づかない“沈黙の病気”に警鐘を鳴らし、早期治療と定期的な健診を受けて口の健康を維持するよう呼び掛けている。

 歯周病は、歯と歯肉の隙間にある溝に侵入した細菌が増殖して、歯肉に炎症を起こす感染症だ。進行すると、溝が広がって深さが4ミリ以上の「歯周ポケット」が生じる。やがて歯を支える歯槽骨など歯周組織を壊してしまう。

細菌集まり歯垢・歯石

 口の中には700種類とも言われる多種多数の細菌がいるが、通常は、相互にバランスをとって平穏を保っている。しかし、歯の磨き残しがあるなど不潔な状態が続くと、歯と歯肉の境目に歯周病細菌が集まり、バイオフィルム(ぬるぬるねばねばした塊)をつくるようになる。これが歯にこびりついて歯垢(しこう)(プラーク)や歯石となり、炎症は次第に進んで歯周ポケットは深くなっていく。

 発症には、体内の防御システムである免疫反応も関与している。歯周病細菌を攻撃する免疫細胞の活動が活発化し、ついには重篤な炎症を起こすさまざまなタンパク質(起炎物質)を過剰に作り出し、歯と歯槽骨との結合まで破壊する。それでも最初は自覚症状がなく、歯がぐらつき始めてから歯科医に行くというように、既に重症化している場合が少なくない。

糖尿病との悪循環

 歯周病の本当の怖さは、その影響が全身に及ぶことにある。顕著なのは、糖尿病との悪循環だ。岡山大大学院の高柴正悟教授(歯周病態学)は「糖尿病の患者の多くは歯周病を患っており、二つの病気は相互に関係している」と指摘する。

 歯周病によって炎症性のサイトカイン(生理活性物質)が多量に生産されると血糖値を下げるインスリンの働きが鈍り、高血糖をさらに悪化させる。一方、高血糖の影響で微小な血管が傷んでしまうため、炎症で壊れた歯周組織は治りにくくなるし、糖尿病による免疫力の低下は歯周病細菌の増殖を許してしまう。

 糖尿病だけではない。口腔(こうくう)内で増えた歯周病細菌が食物や唾液と一緒に気管に入れば肺炎の原因となる。血管内に入り込んで全身を巡ると、動脈硬化が起こりやすくなって心筋梗塞のリスクを高めるし、肝機能障害との関連も研究されている。

 妊婦が歯周病になると、炎症性のサイトカインによって早産を誘発したり、低体重児が生まれたりする危険性があるとされる。不妊に悩んでいた女性の重篤な歯周病を治療したところ、身体状況が改善して妊娠に至ったケースもあり、高柴教授は歯周病が妊娠成立にも悪影響を及ぼす可能性を示唆している。

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最終更新:2/3(月) 11:33
山陽新聞デジタル

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