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淑明女子大初のトランスジェンダー合格者「心がぼろぼろに」

2/3(月) 18:09配信

ハンギョレ新聞

学内外の反発、入学反対で「入学が怖い」 「性転換手術後に強制除隊させられたピョン・ヒス下士に向けた 『静かに生きてりゃいいものを、ことを荒立てるのか』という反応を見て怒り」  韓国初のトランスジェンダー弁護士パク・ハンヒさんを見て法律家を夢見る 「誰もが状況によっては少数者になりうる…少数者受け入れを」

 「1日中とても怖かった。あらゆる悪口を浴びせられたので、心がぼろぼろになりました」。

 受話器の向こうでAさん(22)の声が震えた。Aさんは昨年、8月にタイで性転換手術を受け、10月に裁判所で性別訂正許可を受けた。そして先月30日には、Aさんが淑明女子大学法学部に最終合格したというニュースが『ニューシス』に報道された。すると淑大の内外からAさんの入学に反対する声が溢れた。学内のコミュニティーには「女性のための空間に入ってくるな」「トランスジェンダー女性が自分のことを女性だと主張する根拠は飛躍」「そもそもトランスジェンダーが静かにしていたら大騒ぎにならなかった」という書き込みが続々とアップされた。淑明女子大総学生会がAさんの入学をめぐり会議を通じて立場を表明するという報道がなされると、ある学生は総学生会に「現在の学生はトランスジェンダーである『男性』の入学に非常に恐怖を感じ、憤りを感じている状況なのに、総学生会は学生の立場を反映せず、一方的に(一部の)学生を代弁するのか」と抗議のメールを送った。

 Aさんはこのことをすべて知っている。Aさんは先月31日と2日のハンギョレの電話取材に対し「私のことを、社会的マジョリティの男性であるため、女性の人権のために私の入学は不許可にすべきだというアプローチや、性転換手術をきちんと受けていないという反応を見てもどかしかった」とし、「もし入学しても厳しい視線から自由にはなれないので、入学手続きができるかどうか怖い」と語った。

 にもかかわらず、Aさんは性的マイノリティ問題について社会的な可視化が必要だという見解を曲げなかった。Aさんの淑明女子大合格に先立ち、性転換手術後に陸軍から強制除隊させられたピョン・ヒス下士をめぐる論争があった。ピョン下士は、軍服務中だった昨年12月に休暇を取ってタイで男性から女性への性転換手術を受けた後、女性軍人として軍服務を続けていくと表明したが、先月22日に陸軍はピョン下士の強制除隊を決定した。Aさんはその時に起きた社会的反応もつぶさに調べてみた。「ピョン下士に対する反応の中に『静かに生きてりゃいいものを、何のためにインタビューまでしてことを荒立てるのか』という視線がありました。このような反応を見て戸惑い、憤りもわきました。あるマイノリティがアイデンティティを示せば、マジョリティや他のマイノリティは、差別や蔑視があるから隠れて生きるべきと言い、一部のマイノリティはこれをそのまま受け入れている。どちらも非常に間違っていると思います」。

 Aさんに対する差別的な視線は、実はAさんに「女子大に合格した最初のトランスジェンダー」というタイトルが付く前から存在した。Aさんは、裁判所で性別訂正許可を受ける一カ月前の昨年9月、大学修学能力試験出願のためワンピース姿で居住地域の教育庁を訪れた。教育庁職員はAさんに「試験当日は今のような服装で来れば他の学生たちの気が散るから、普通の服装で来たほうがいい」と言った。Aさんは結局、スカートをあきらめてラフな服装で試験を受けた。Aさんは「シスジェンダー(生物学的性と自分が感じるアイデンティティが一致する人)男性でもこういうことを言われてはいけないと思う」とし「そういう意味で戸惑った」と語った。

 Aさんがトランスジェンダーの人生について勇気を得たのは、2017年4月発行の『ハンギョレ21』1159号に掲載されたパク・ハンヒ弁護士のインタビュー記事を見てからだ。パク弁護士は、男性から女性に性転換した国内初のトランスジェンダー弁護士だ。「記事を見て深く感銘を受けました。そして他人の視線によって自分を萎縮させてはいけないと思いました。その後、弁護士になって法律から疎外されざるをえない社会的弱者たちを助けたいと思うようになりました」。

 Aさんは今月7日までに淑大に入学金と授業料を収め、入学手続きをするかどうかを決めなければならない。もし希望通り大学生活を始めることができたら、Aさんは誰でもある面ではマイノリティになるしかないということを世に伝える活動をするつもりだ。Aさんは「すべての人をもっと受け入れられる社会になってほしい」とし「人はすべての分野でマジョリティであることはできず、ある状況ではマイノリティとなるしかない。自分がマイノリティである状況で差別と蔑視を受けたくなければ、別の状況では異なるアイデンティティを持つマイノリティに配慮するのが当然だと思う」と述べた。

 女性学研究者で韓国芸術総合学校客員教授のクォン・キム・ヒョニョンさんは「性別は見かけから判断するものではない。それに淑明女子大学が女性大学なら、法的に女性であるAさんを拒絶できる理由はない。したがって一部の淑明女子大生の反発は、それ自体が差別」とし「反発する学生たちは差別によって女子大内の空間的な安定性を獲得できると思っているが、それと同時に女子大内の多様性などの価値を無視することになる。今の淑明女子大学にも、自分が女性だとは思っていない人、自分が女性と男性の間のどこに位置するのか分からない人がいるはずだ。そのような人々の存在も全く理解できていない行為」と指摘した。韓国性的マイノリティ文化人権センターで活動するハン・チェユンさんは「人にはそれぞれ自分らしさというものがあるが、この人が生まれるなり先に男性と規定してしまったのは社会だ。Aさんの場合、女性であるにもかかわらず社会が住民登録番号1番を与えて男性として生きさせてきたわけで、自分の性を取り戻して自分らしく生きると決心したのに、他人が『あなたは男だ』と言うのは、国家が指定した性別で生きろと言っていることに他ならない。なぜ自分らしく生きてはいけないのか」とし「法的に性別訂正まで終えた人について論争が起こったら、この人はいったいどこで暮らすべきなのか」と指摘した。
カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:2/3(月) 18:09
ハンギョレ新聞

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